KISS_FOR_U・4(y視点) ページ31
side(y)
玄関のドアを閉めてすぐ、太輔に抱きしめられた。
「あ、っ…太輔っ」
「わた…」
壁に押し付けられて、鼻先がふれそうな距離で見つめられる。
耐えられなくて視線をはずしたら、両手で頭をがしっと固定された。
暗闇の中で、濃くなった太輔の香りにくらくらする。
「ま、待っ、て…」
心臓の音がうるさい。
目の前にあるのは見慣れた太輔の顔で、体にふれているのもよく知った太輔の肌で。鼻腔を埋め尽くしているのも、太輔の香り。
オレのなかが、太輔でいっぱいになる。
五感が太輔に支配されてしまう。染まってしまう。
心が警鐘を鳴らす。
ここから先は、いけない。
でも、擦りつけるように体を寄せてこられたら抵抗なんてできなくて。
「んっ…!」
唇を重ねた瞬間、全身が強ばるのがわかった。
ふれ合ったところが痺れて、まぶたの裏でパチパチと閃光がはじける。
唇が離れた瞬間、思い出したように息を吸い込む。喉が掠れた音をたてた。
「わたとキスするの、久しぶりだね」
甘いまなざしで微笑む太輔の指に、唇を拭われる。唇をすべる指の感触に背中がぞくぞくして、力が抜けそうになる。
はずかしい。
太輔の目が見れない。
電気をつけないでいてくれて助かった。
こんな情けない顔、太輔にみられたくない。
「ね、わた」
するりと、太輔の腕が首に回った。
「もう一回…してもいい?」
「あ…」
ぼうっとした頭で、ふれ合う鼻先の感覚と太輔の温度に身を任せてしまいそうになって…我に返った。
いやだ。
だれかの代わりのキスなんて、受けたくない。
ぐっと、太輔の肩を押した。
「わた?」
「ごめん…」
自分の気持ちを自覚してしまったら、ダメだった。
いままでみたいな気持ちで太輔を受け入れることができない。
触れられてしまったら、気持ちを隠し通せる自信がない。
「オレ。太輔ともう、こういうこと、できない」
身代わりのキスが、こんなにつらいなんて知らなかった。
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風華(プロフ) - なゆきすさん» はじめまして(*^^*)コメントありがとうございます♪らしさが出せてますか!すごく嬉しいです(つω`*)キュンキュン、悶絶してくださって、本当にありがとうございます(*´人`*) (2016年12月1日 0時) (レス) id: 1b2af6d73b (このIDを非表示/違反報告)
なゆきす(プロフ) - 初めてコメントさせて頂きます!先日こちらの作品を見つけて一気に読ませて頂きました!わたたいの言動からもお互いを想う気持ちが伝わってきて切なくもキュンキュンさせて貰いました!他のCPも驚くくらいらしさが出ていて、可愛くて悶絶しました。゚(゚´ω`゚)゚。 (2016年11月30日 7時) (レス) id: 3a98101b3e (このIDを非表示/違反報告)
風華(プロフ) - (*゚▽゚ノノ゙☆パチパチ みんなの思いに答えをつけて、どっちかわからないという状態は避けました。最後までお付き合いくださって、ありがとうございますー(つω`*) (2016年10月27日 14時) (レス) id: 1b2af6d73b (このIDを非表示/違反報告)
みなみ(プロフ) - ハッピーエンドに拍手〜。皆に幸あれですね\(^^)/ (2016年10月26日 20時) (レス) id: da0698ca24 (このIDを非表示/違反報告)
風華(プロフ) - のあじさん» 最後まで見届けてくださって、ありがとうございます!長いあいだ、それぞれにつらい思いをさせてしまったのですが無事にみんなハッピーエンドで終わることができました。きっとこのあとは、周りが胸焼けするほどイチャイチャしてくれていると思います(*^^*) (2016年10月26日 1時) (レス) id: 1b2af6d73b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:風華 | 作成日時:2016年9月23日 13時