タナゴコロ・2(y視点) ページ13
side(y)
間違ってるかもしれないけれど、それで一瞬でも太輔の心が満足するなら、それでいい。太輔には泣いてほしくない。
だから、あれから太輔の家にお邪魔して、そこでまた太輔の顔が近づいてきたときも…ごく自然に目を閉じて受け入れていた。
太輔とキスをすることに抵抗はなかった。近づいてきた唇に、あたりまえのように応える。それだけ。
自分でもよくわからないけれど、ほんとうに、なんとも思わなかった。
「…ねえ、わた」
「なに?」
「あのね。…寂しい」
「うん…」
抱きしめる腕に力を入れたら、太輔がほっと息を吐いた。
「わたは…?…しんどくないの?」
「オレ?」
…どうなんだろう。
みつからニカのことが気になるって聞かされたときはびっくりしたし、ショックだったけれど…でもこの先、二人の気持ちが通じ合ったら、それは素敵なことだなって思う気持ちもある。
それにオレはもとから、あきらめてたから。
みつの心が、だれのほうを向いているのか。
それをはっきりと知ってしまったのは悲しかったけれど、気持ちを伝えていればよかったなんてことは思わない。伝えなくてよかったと思ってる。
みつとはこれからも、なんのしこりもないまま、いままでと同じ距離でやっていきたい。
ニカとうまくいったら祝福したいし、もしニカ以外の人といる道を選んでも、おめでとうって言いたい。
「オレは大丈夫。ありがとう、太輔」
太輔は怒ったような顔で口を尖らせて、オレを見上げてくる。つい笑ってしまったら、太輔の眉間のしわがさらに深くなった。
「太輔、すげー難しい顔してる」
「…わたのせいじゃん」
「なんで?」
「…なんでも」
「なんでも?どういうこと?」
「しらない。ぜんぶ渉のせい」
「なにそれ」
太輔の返答がおかしくて、自然と笑みがこぼれた。やっぱり太輔といると、すごく気分がラクになる。楽しくなる。
気を使わないでいられる親友で、大事なグループのメンバーで…キスをする仲。
よくわからない関係だけれど、違和感はない。きっと太輔もそう。
太輔の香りが濃くなったのを感じて、まぶたを閉じる。
ふわりとあたる柔らかい感触。
あたたかくて心地いい感覚は、まるでオレと太輔の関係みたいだなって、そんなことを考えた。
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風華(プロフ) - なゆきすさん» はじめまして(*^^*)コメントありがとうございます♪らしさが出せてますか!すごく嬉しいです(つω`*)キュンキュン、悶絶してくださって、本当にありがとうございます(*´人`*) (2016年12月1日 0時) (レス) id: 1b2af6d73b (このIDを非表示/違反報告)
なゆきす(プロフ) - 初めてコメントさせて頂きます!先日こちらの作品を見つけて一気に読ませて頂きました!わたたいの言動からもお互いを想う気持ちが伝わってきて切なくもキュンキュンさせて貰いました!他のCPも驚くくらいらしさが出ていて、可愛くて悶絶しました。゚(゚´ω`゚)゚。 (2016年11月30日 7時) (レス) id: 3a98101b3e (このIDを非表示/違反報告)
風華(プロフ) - (*゚▽゚ノノ゙☆パチパチ みんなの思いに答えをつけて、どっちかわからないという状態は避けました。最後までお付き合いくださって、ありがとうございますー(つω`*) (2016年10月27日 14時) (レス) id: 1b2af6d73b (このIDを非表示/違反報告)
みなみ(プロフ) - ハッピーエンドに拍手〜。皆に幸あれですね\(^^)/ (2016年10月26日 20時) (レス) id: da0698ca24 (このIDを非表示/違反報告)
風華(プロフ) - のあじさん» 最後まで見届けてくださって、ありがとうございます!長いあいだ、それぞれにつらい思いをさせてしまったのですが無事にみんなハッピーエンドで終わることができました。きっとこのあとは、周りが胸焼けするほどイチャイチャしてくれていると思います(*^^*) (2016年10月26日 1時) (レス) id: 1b2af6d73b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:風華 | 作成日時:2016年9月23日 13時