鞠よっつ。 ページ4
「…………遅いねぇ、太宰に国木田」
同日、探偵社。
探偵社専属医である与謝野晶子は、事務仕事の合間に時計を見やった。
今日の二人の任務は偵察のみと聞いている。
片端から貧民街近くの工場を見てくるとは言っていたが、そこまで多くの集落があるわけでもなし、二時間もかかるような仕事ではない筈なのだ。
「何かあったのかねぇ」
「別に大丈夫だと思うよ、与謝野さん」
与謝野のボヤキに反応を返したのは、回転座椅子に座り、くるくると回る男だった。
『探偵』を具現化したような服を着た男は、この武装探偵社での古株、江戸川乱歩だった。
先程駄菓子を買い込んできたようで、机の上に積まれたそれらをもぐもぐと咀嚼している。
「また川辺で餓死寸前の子供に茶漬けでも奢ってんじゃない」
「乱歩さんそんなの昔の話じゃないですか！」
笑い混じりに昔の出来事を話しはじめた乱歩に、白髪の少年がむっとして反論した。
「あれホント辛かったんですからね⁉」
「やだなー敦くん。血圧上がるよ？」
敦を子供、と呼んだ乱歩だが、その身長は168cmと割と小柄な部類に入り、しかも彼には2�冑蕕韻討い襦�
しかし、そんなことは毛ほども気にしない乱歩なのであった。
探偵社員が各々の仕事を片付ける中、突然、与謝野の携帯が鳴り響いた。
「？ なんだい、国木田？」
与謝野の意外そうな声に、乱歩や敦、谷崎兄妹などの探偵社員が集まる。
「あんたら、えらく遅くないかい？」
『ちょっと聞いてくれ』
「なんだい改まって』
受話器の向こうで、荒く息をする音が聞こえる。まさか、逃亡中なのだろうか。
『太宰が捕まった』
「はぁ⁉」
『奴らはただの密輸業者じゃなかった。
《武装密輸組織 ブームスラング》だ。相当な手練れがいる』
鞠が、跳ねて跳ねて飛びまわる。
その行き先は、誰にもわからない。
跳ね飛ばした本人にさえ______
わからない。
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藤見日和(プロフ) - 竜泉さん» わぁ〜ありがとうございます！ 頑張ります♪♪♪♪♪ (2017年2月4日 0時) (
レス) id: 3600278a3d (このIDを非表示/違反報告)
竜泉(プロフ) - 描写表現が豊かで世界観がよく分かります。 とても面白いと思います、更新頑張ってください！ (2017年2月3日 23時) (レス) id: 388cb5bae8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藤見日和 | 作成日時：2017年1月14日 21時
