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「…私は、誰かの人生を狂わせた自覚が足りなかったのかもしれません」
目を伏せて、指先を震わせながら彼女は言った。
「謝ってまわって貰ったものを返して、許すよって言葉を貰えただけで、本当に罪を償った気になって…それだけじゃ、心の傷なんて癒える訳ないのに…」
少し声が震えている。
彼女は過去に許されないことをした。それは謝っても償っても消えはしない事実であり、これからも一生背負っていくしかないことだ＿＿
＿＿＿が。
「…本気で言うてるん？」
「え…？」
「これ読んだんやろ？後半、言うてることめちゃくちゃやったやん。Aちゃんは悪くないのに…もちろんコネシマも、誰も悪くないのに、一方的にAちゃんを悪者にして…」
そう、その手紙は筋が通っているようで実は全く通っていないのだ。Aちゃんに一切非がないと言い切ることは出来ないけど、少なくとも後半の件に関してはAちゃんが問い詰められる所以はなかった。
「…でも、そもそも私が代行なんてやってたのが悪いんです」
自嘲気味な言葉にAちゃんの顔を見ると、まずは聞いてくれ、とでも言いたげに瞳が揺れた。
一度口を閉じて次の言葉を待つ。
「…これを読んで、私は怖くなりました。前の、代行をしてた頃の私なら、自分が悪いんだから、って全部割り切れたかもしれないです。でも、情けない話だけど、ゾム先輩に知られたら…嫌われたらどうしようって思っちゃって…
先生や警察の人には本当のことを言いました。だけど、あそこにいたら、いつかは広まってしまうんじゃないかって…ゾム先輩にも、知られちゃうんじゃないかって思いました。
だから、学校に行くのをやめて、手続きをして…退学しました。家も出て、とにかく遠くに引っ越したんです。
ももや他の友達、先輩方…それに、誰よりも、ゾム先輩のことは気がかりだったけど…私のことが広まって、ゾム先輩まで何か言われたら、そんなの絶対耐えられないから…私のことを忘れて、幸せになってもらおうって思ったんです」
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