無表情の特級呪術師は夏油傑の妹 (ページ20)

今日:8 hit、昨日:21 hit、合計:39,344 hit

復讐18 ページ20

(五条side)

？「まっ、待ってください！」

後ろから、冷たい、でもどこか焦ったような声が聞こえた。

声の主はAだ。

貴「私に夏油傑を殺させてくれる約束ですよね。
夏油傑が高専にいるなら、私も行きます。」

確かに、あの日、医務室で約束した。

でも、

五「いや。ダメだ。」

僕はそう言って、パンダと棘を高専に送った。

貴「！ど、して...」

Aには悪いけど、

僕の予想が正しいなら、

五「今、高専に行けば、君は間違いなく、」

――――――夏油に拐われる。

貴「は？」

あいつが高専に来て、Aがあいつと対峙した日、あいつはAに

"楽しみにしてるよ"

と言っていた。

この子の力は、恐らく、僕の次くらいに強い。

だけど、まだ子供だ。

強いのは呪術の話。

力では負けてしまうだろう。

恐らくあいつは、この子を負けたとき、次の保険にするつもりだ。

だから、僕がついていない今、高専へ送るわけにはいかない。

貴「私が夏油傑に、負けると言いたいんですか？」

五「確かに君は強い。それこそ、僕の次くらいに。でも、体術でいなされてしまえば、今の君は、容易く負けてしまうだろう。」

貴「っ！」

五「だから、君には、新宿のバックアップを頼むよ。夏油のもとへ行くのは、それからだ。」

Aは悔しそうに下唇を噛んだ。

理由は分からないけど、恐らくこの子は、傑を殺すことだけを糧に生きてきた。

だからこそ、誰かがそばにいないと居なくなってしまう気がした。

傑の元へ行くのは、呪霊どもを片し終わってからでも遅くはないだろう。

そう伝えると、Aは渋々と納得した。

僕も、高専の方が気になるが、今はこっちだ。

五「すずは、僕から離れすぎない程度で、呪霊を片っ端から祓ってってね。君、一応、監視対象だからさ。」

貴「はい。」

高専に早く行くためにも、さっさと終わらせないとね。

ミ「アンタノ相手八俺ダヨ、特級」

呪術師の等級は、相性さえ無視すれば、原則として同等級の相手と実力が拮抗(きっこう)する。

本来であれば、同級の相手ができるのは、同級以上

傑を除く呪詛師一派の中で、僕の相手ができるのは、あの変な呪いが編み込まれた縄を操るこいつだけ。

だけど―――1つ、傑が甘く見積もっていたことがあるとすれば、"特級"とは実力の上限ではなく、"それ以上は計測不可能"という、例外等級であること

五「――――――悪いけど、今忙しいんだ。」