243.資格 ページ7
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エリザベスが帽子亭にやって来た。
なんでも、国王様直々に皆に授賞式を行いたいとのことで。その知らせを伝えに来てくれたみたい。
「もちろん、ホークちゃんも!」
「つーか、俺がメインで〈七つの大罪〉がおまけだろ?」
「ウフフフ!」
「え?そこは笑うとこじゃないでしょ?」
未だ小さなホークちゃんのそんな可愛らしい発言に微笑むエリザベスを見ながら私は思わずホッコリ。
癒やしの光景だなぁ。こんな光景をまたこうして見れることが出来て本当に良かったなとしみじみ思う。
「良かったねホークちゃん!王様からの授賞式なんて名誉だよ!」
「A、あなたも一緒よ」
「えっ?」
エリザベスの言葉に私は驚いて目を丸くした。
冗談を言っている…といった様子は全く無く、優しく笑みを浮かべながら私を見つめるその瞳に、本当なのだと分かる。
ホークちゃんも、「そりゃそうだろ!」と当たり前のように言うけど、私は戸惑い俯いた。
「でも私…一度〈七つの大罪〉から離れてるし。皆を…裏切っちゃってたわけで…」
「裏切られた、なんて私達は微塵も思ってない」
強く、ハッキリと、そして凛とした声でそう言うエリザベスに私は俯いていた顔を上げた。
「敵対していた聖騎士の方へついていたとしても、あなた自身、町や人に危害は加えていないわ」
「だけど、」
「町の人は、あなたに感謝していたのよ。崩れる建物から町の人達を守ったのでしょう?とても感謝しているそうよ。それはあなたが1番分かってるはず」
エリザベスが私の手を取り、優しく握る。
「王都で話題になってるんだから」
「話題?」
「崩れる建物の瓦礫から、人々を救ったのは美しき美声を持つ“黄昏の歌姫”」
「え!?」
「これ、Aのことよね!」
別の誰かだと思いたいけど、それは確かに私のことだ。というか、何か美化されすぎでは…。
救ったと言っても、そんな称賛されるほどじゃないし…。
それに、美しき美声って…。黄昏の歌姫、なんてそんな柄じゃない呼び名も正直私にはくすぐったいというか。
だけど私の歌は既に王都で広まりそれはすぐに城内にまでその噂が届いていたみたいだ。
「それにあなたは…私を、私達を助けるために戻ってきてくれたもの。Aには、称賛される資格が充分すぎるほどあるんだから」
「エリザベス…」
だから、授賞式に来てほしい。そう言うエリザベスに私は迷いながらも困ったように笑って頷いた。
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きよか。(プロフ) - あぷるさん» 初コメありがとうございます(;_;)掲載当初から…うわわわ…なんと…ありがたいです…(;_;)嬉しいです!あとがき、ちょっと紛らわしかったですがサプライズ、ということで!2年、あっという間です…。まだまだ続きます!ので、ぜひこれからもよろしくお願い致します! (2020年11月30日 22時) (レス) id: 17fe0d2d28 (このIDを非表示/違反報告)
きよか。(プロフ) - イオさん» ありがとうございます(*^^*)続編、また頑張っていきます!発狂してください、ぜひ!(笑)シリーズ7は12月からスタートになります!もうすぐです…!これからも引き続き頑張っていきますので、楽しんでいただければと思います♪ (2020年11月30日 22時) (レス) id: 17fe0d2d28 (このIDを非表示/違反報告)
きよか。(プロフ) - 音無さん» うわぁぁ(;_;)長いのに、また読み直してくださってるなんて…嬉しい限りです…。夢主ちゃんの成長を改めて感じてもらえてとても嬉しく思います(;_;)文才なんて、まだまだ全然ですがそんな風に仰ってくださって光栄です…!次はもうすぐです!楽しみにしていてください♪ (2020年11月30日 21時) (レス) id: 17fe0d2d28 (このIDを非表示/違反報告)
あぷる - 初めてコメントさせて頂きます。掲載当初から本当に大好きです。今回あとがきとあって寂しい気持ちになりましたが続編と言うことでおめでとうございます!二年間最高の作品をありがとうございます。無理せず更新頑張ってください (2020年11月29日 18時) (レス) id: 9ae6da1d4e (このIDを非表示/違反報告)
イオ(プロフ) - 続編決定おめでとうございます,十戒編が楽しみすぎて発狂しそうです,更新頑張ってください (2020年11月24日 22時) (レス) id: 13211e3e0a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きよか。 | 作成日時:2020年8月22日 19時