102.離れてく背中 ページ14
.
立ち上がって倉賀さんの前まで来ると、彼は目を輝かせて何かを期待するような眼差しで私を見てくる。三代目火影様の危険を知らせにここまで来てくれた時は普段と違って頼もしく見えたんだけどなぁ。
はぁ、と溜息を吐いて、私は倉賀さんの肩に手を置き、そのまま彼の体をクルリと反転させた。
「え？え？Aさん？」
「只今、満席ですのでお帰りくださいませ」
「え！？いやいや、席ならまだ空いてますよね？だって僕、お店が落ち着く頃を見計らって来たんですから！」
「いえ、全然満席です」
「えぇ！？」
背中をグイグイおして無理矢理お店の外へ出す。戸惑いまくる倉賀さんだけど本当私は今、彼のアプローチを相手するエネルギーも無いのだよ。お客さんに対する態度じゃないのは分かってるけど、倉賀さんならいいよね！というなんとも失礼な思考である。
「僕はAさんが元気が無いと聞いて飛んできたんです！」
「誰に聞いたんですか…」
「風の噂で！」
「はぁ…」
「僕が元気付けてあげたいんです」
「何故、手を握るんでしょうか」
「握りたいからです」
セクハラか！
理由になってないし。初めて会った時もそうだけど、ほんとにめちゃくちゃな人だなぁ…。
こんな人でも上忍なんだもんな。人は見かけによらないよね本当。
はあ、とまた１つ溜息を吐いて何となく彼から視線を外すと。
「……」
「……ナ、ナルト？」
そこには、サクラちゃんと二人で歩いてるナルトがいた。
ナルトも私に気が付き、目を見開いてこっちを見ていて、私も私で３日ぶりに見たナルトに驚いて目を何度も瞬かせる。
そしてハッとして倉賀さんの手を振り払う。
前みたいにまた怒っちゃうかもな、と思って。
だけどナルトは目を見開いたのもたった一瞬で、私のことなんか気に留めることもなくそのまま足速に去って行ってしまった。
ナルトからは、まるで…話しかけるな、話したくない、って、そう言われてるような気がして呼び止めることが出来なかった。
「ちょっと！ナルト！…もう、なんなのよアイツつてば…」
さっさと行ってしまったナルトに腹を立てた様子のサクラちゃん。
「目が合ったというのに、挨拶もしないとは」
呆れたように肩をすくめる倉賀さん。
私はただただ、ナルトが去って行った方を見つめることしか出来なかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1190人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「トリップ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
花 - 続き楽しみにしてます！ナルトと夢主ちゃん最高です！これからも頑張ってください！！ (2022年12月27日 17時) (
レス) @page47 id: 8f1c7c43ac (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - 貴方様のTwitter教えてください！！！(もう最高なんですよ語彙力！) (2022年12月26日 15時) (レス) @page47 id: b396ddc2bf (このIDを非表示/違反報告)
きよか。(プロフ) - いちごだいふくさん» 応援ありがとうございます！更新が遅くなりましたが、また数話upしたので楽しんでいただければと思います(*^^*)♪ (2022年9月4日 22時) (レス) id: eb7d68b815 (このIDを非表示/違反報告)
いちごだいふく(プロフ) - 続きが見れて凄く嬉しいです！これからも頑張ってください！ (2022年6月19日 16時) (レス) @page38 id: 317a37bf32 (このIDを非表示/違反報告)
きよか。(プロフ) - いちごだいふくさん» ありがとうございます！更新遅くなって申し訳ないです（ ; ; ）お話upしましたので、よろしくお願いします♪ (2022年6月18日 16時) (レス) id: eb7d68b815 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：きよか。
| 作成日時：2021年4月11日 20時
