箸が転べば僕らは笑った -5-【魔d!】 (ページ14)

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37.似てないからページ14

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いたずらやトラップから、はては強盗や暗殺まで、他者からの妨害というものは突然にやってくるものだ。と、そう思って過ごしている悪魔の方が多いだろう。

しかし、それは【自分には起こるはずがない】とタカを括っている慢心からくるものなのだと教わった。
そして、不変の事態をを警戒して生きていると…案外、対処はできるものだということも。

お婆様に教わった中で現在も生かせている、数少ない教訓だ。

『え、スリに合った？』

お昼休み、閑散とした食堂から次の【使い魔】の授業が行われる校庭までの道のりを歩くなかで、ロボロくんがふと困ったように天の文字を下げながらその話を始めた。

rb「俺やなくて兄さんが、やけどな」

『大丈夫やったん？スリとかあんねんな…』

rb「まあな、盗られたんは昼食のエビフライやったし」

『エビ、フラ…？？？』

rb「昼飯のメインが～！って落ち込んどったわ」

『ふふ、つくづく面白いお兄さんやね』

「どうせおんなじ師団の悪魔の仕業やろって思うんやけどなぁ」と言いながらもふんわりと笑っているような穏やかな空気が、ぽわぽわとシャボン玉が舞うようにロボロ君から流れてる。

お兄さんのこと、本当に好きなんやなぁ

rb「A君もきぃつけてな、最近被害が多いみたいやから」

雑面越しでも、優しく笑ってくれているのだろうという純粋で温かな気持ちがひしひしと伝わってくるから自然に僕も笑顔になれる。
彼の隣にいるだけで、不思議と心がぽかぽかする。

あの時、勇気を出してロボロ君に声をかけてよかった。

『うん、わかっ…た』

と、頷こうとした瞬間だった。

僕よりも頭ひとつ分大きな影が、ロボロくんの隣を通り過ぎようとした瞬間、懐に手を伸ばした。

それは蛇のように鋭く、鮮やかに、隙間を縫うかのように丁寧に、けれど驚くほどに素早く、ロボロくんの懐から何かを抜き取ろうとする。

それは一瞬で、刹那的なものだった。

けれど、僕は陰から伸びた手をガッシリ掴んだ。
掴んで、ぐるりと足を払い、上体を投げてから床に押さえつけた。

咄嗟のことで魔術を床にかけるのも忘れて、「ドスン」と大きな音がなる。相手からはカエルが潰れたような声が聞こえたが、窃盗魔相手に遠慮する気持ちもなかった。

『なにをしているんですか』