Hostage 6 ページ6
＊
「んで、えーっと...」
『Aです』
「そうそう、Aさん！ここがアンタの部屋やで！」
明るい口調で話しかけるこの男性は、どうやら王家の人間と普通の人間を差別しないらしい。おかげでいい印象を抱いている。
はきはきとそう告げ、にかっと笑う彼を見て、どこか胸が痛んだ。
一応、これで城内の施設は案内したけど、またわからんかったら言ってな！
そう晴れやかな笑顔で言った後、早足で戻っていった。
...ということは、私は夕食まで部屋で待機ということか。早速ドアを開けて、部屋に入った。
『...おお』
内装はなかなかに綺麗で、アンティークを中心とした雰囲気だった。
私のために用意してくれたのか、それとももともとこんな感じなのか。どちらにせよ過ごしやすいことには変わりない。内心とても嬉しかった。
そして、どうしても視界の隅に映るもの。...監視カメラ。
この華々しい雰囲気を一つあるだけで重々しい雰囲気へと早変わりさせている重苦しい鉄塊。私が疑われていることを表しているも同然で、なんだか少し悲しくなった。
疑われるのはしょうがないことだし、どのみち私はこの国を潰すも同然のことをするのだから。
『...さて。とりあえず荷物を解くか』
部屋の端っこに積まれた着替えの数々が詰め込まれたカバンをみる。あいにく、片付けは好きじゃないし得意でもない。
おかげで祖国の自室はぐちゃぐちゃ。小さい頃から叱られた。
...が、他の国でもその醜態を晒すわけにはいかない。どうにか部屋の雰囲気をぶち壊さずに直したいものだと頭を抱えた。
＊
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作者名：たこやき。 | 作成日時：2018年7月31日 22時
