君の夢は、私の夢。(３)

Episode 54 ページ6

Episode 54 真司郎サイド







宇野ちゃんと千晃、二人に連れられて
Aちゃんが出ていったあと。

楽屋には男子五人のみが残る。








「にっしー、なに隠してるん」


「は？」


「ホンマに友達に部屋貸すからなん？」








様子がおかしいことくらい、
これだけ一緒に居るメンバーなら全員気づいてる。

きっと、久しぶりに会ったっていうAちゃんも。
そういうのにはとても敏感そうだから。







「なんか、Aちゃんを遠ざけないかん理由でもあるんやないのか」


「ねぇよそんなもん」








…なら、なんで俺の目を見ない。
なんでAちゃんの目を見なかったんや。

あれだけAが！Aが！といつも言っていて。
一番に絡んでいくはずのにっしーが、今日は切ない目で見てるだけなんて。

あの報道があって人目とか気にしてるのかもしれへんけど、いまはメンバーしか居ないからそんなの気にしなくても良いはず。








「Aちゃん、悲しそうな顔しとったんに気づいたか」


「………」


「にっしーが何を隠してるか知らへんけど、」








大切な幼馴染みなんだ−−− って、
愛おしそうな目で見ていたのは嘘やないと思うから。








「大切なんやろ。もう少し、Aちゃんのこと考えて、」


「わかってるよそんなこと」


「なら、…ならっ！」








にっしーの言い方に腹が立ってきた。
あかん、これ以上言ったら喧嘩になりそうやと思いながら。

次の言葉を発しようとして、








「真司郎、それ以上はやめろ」


「…直也くん」








ライブ前に喧嘩はやめろと直也くんに征される。








「……すまん」








俺を宥めた直也くんは真剣な表情で
にっしーを見据えている。









「西島、お前の様子がおかしいことくらいここにいる全員が気づいてるんだ。Aちゃんだって、きっと感じたさ。何を抱えているのか…西島が話してくれないと俺たちだって、Aちゃんだって何も分からない」








俺たち、仲間だろ。
もっと人を頼れ。

そう、直也くんはにっしーに言った。

そうや、俺はそれが言いたかった。

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