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story19 ページ20

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イチゴは、私が好きな食べ物で、初恋の相手に当たるほど。


それくらい、好きだった。


けど、そんなのとは比べものにならない。


笑って欲しい。


もう私、騙すことが出来ないくらい、


貴方のことが好きだから。


「僕のメンバーカラー、ピンクなんですよ。」


急に表情を変えて、また照れくさそうにしていた。


「イチゴって、ピンクっぽい色してるじゃないですか。いやまあ赤ですけど…」


「だから、僕の色食べてくれてるの、ちょっと嬉しいなって…」


被っていた帽子を殊更に深く被って、顔が見えないくらいだった。


その様子は、初めて出逢った時の棚澤さんみたいで、


凄く不思議な気持ちになった。


「ちなみに、赤は誰なんですか?」


「はじめさんです。」


こんな質問にも真面目に答えてくれる。


それが少し面白くって。


「何笑ってるんですか…」


「いや、棚澤さんって面白いなぁって!」


そう、私、面白い人、大好きだから。


けど、それはまだ、言う勇気が無かった。


私は、人を笑顔にさせてくれる人を尊敬し、愛している。


棚澤さんも、例に漏れず、そんな人だ。


何なら、そういう仕事をしている。


人を笑顔にさせて、嫌な事でさえ忘れさせてくれる。


それが彼がしている''YouTuber''という仕事だった。


「棚澤さんは、お仕事大変ですか?」


「んー、大変な事も多いです。ただ、やりたい事をやっているので、毎日が楽しいですね。」


毎日が楽しい、って、どういう事を言うんだろう。


そんな事を考えていた時期もあったけれど、


きっと、棚澤さんみたいな素敵な人は、その意味が分かるんだろうな。


「そろそろ座るところ見つけないと、ですね。」


「そうですね。」


もうだいぶ特等席は取られてしまい、端の方になってしまった。


けどきっと、その方が良いんでしょう。


棚澤さんが周りにバレてしまっては、大騒ぎどころじゃない。


本当は、綺麗な所から眺めてみたかったけれど、


こういうのも、私はロマンチックだと思えるから。


「僕、こんなに近くで花火を見るの、初めてなんですよ。」


「そうなんですか?私は一度だけあります。音が大きくて、耳が潰れてしまいそう。」


一緒にくすっと笑って、笑顔が咲いた。


それと同時に、空に花が咲いた。


私では到底無理なほどの努力と時間で作られた花火が、


大きな音を立て、ほんの数秒で儚く散ってしまう。


泣いてしまいそうな位に、花は美しかった。

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So-mei.(プロフ) - Daaaさん» 返信遅れてすいません!私も…書きながらたなっちとの子ども欲しいなぁと思いました(( ありがとうございますー!褒められて伸びるタイプなので嬉しいです笑 また御縁がありましたらよろしくお願い致します! (2020年8月29日 18時) (レス) id: f49ce891b4 (このIDを非表示/違反報告)
Daaa(プロフ) - 遅くなりましたがご完結おめでとうございました!!最後たなっちくんとのお子さん...想像....妄想するだけでドキがムネムネ...(こら)短編と違って長編は本当に難しいですよね、その中で素敵な作品を作り上げたSo-mei.さん、とても素敵です。お疲れ様でした(^^) (2020年8月26日 6時) (レス) id: 4b5c938df8 (このIDを非表示/違反報告)
So-mei. - Daaaさん» えっ、寧ろこんなのを勉強して大丈夫ですか?こちらこそ勉強させて頂いてます((素敵な表現、もしかしたらお借りするかもしれませんが…その様なことが無い様に気を付けます!こちらこそよろしくお願い致します^^ (2020年7月6日 20時) (レス) id: 5021305aba (このIDを非表示/違反報告)
Daaa(プロフ) - So-mei.さん» とても読みやすくて私も凄く勉強になりました...(勝手に勉強させて頂いて申し訳ない...)こちらこそ本当に感謝しかございません、今後とも宜しくお願い致します(^^) (2020年7月5日 19時) (レス) id: 4b5c938df8 (このIDを非表示/違反報告)
So-mei. - Daaaさん» ええええ!?あっ、ちょっと待って下さいね?心の準備が…。え、え?ヤバ…。あの、こちらこそ、ありがとうございます。なんか、こんな妄想に塗れた汚い作品読んでもらってありがとうございます…。ブラマジも見てくださってるんですね…!本当感謝。なんかすいません… (2020年7月5日 14時) (レス) id: 5021305aba (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:So-mei. | 作成日時:2020年6月26日 18時

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