#3 挨拶 ページ3
「Aって前はどこに住んでたの？」
「東京だよ」
「へぇー！ 都会じゃん、いいなぁ」
「部活何してた？」
「家は近いの？」
休み時間になると一気に人気者になっていた。女子も男子も彼に質問攻めだ。玲名は居心地が悪いのか、気がつくと僕の机の上に座っていた。「机の上に」だ。
「八神さん、お邪魔ですよ」
「人気者の基山くんはちょっと危機感あっちゃったりするんじゃないか？」
「なんで僕が危機感なんて」
「普段人が集まるのはお前の周りだからな。それが一気に向こうにいっちゃってさ」
「そんな、僕に友達がいなくなったみたいな言い方するなよ〜」
「イケメン。性格良さそう。ハキハキしてる。女子にも人気出るなこれは」
「玲名は興味ないの？」
彼女は「別に」と呟くと僕の頭を軽く叩いた。
「そう言うお前も話しかけなくていいのか？」
「んー、僕はまだいいや。あっちの相手で忙しそうだしね」
上から僕を見下げる玲名としばらく見合わせていると、遠くから僕の名前が呼ばれた。玲名から目をそらすと、Aくんの周りを囲んでいるクラスメイトたちが僕に手招きをしているのが見えた。
「なぁに」
「ヒロトってお日さま園のところだろ？ Aがその近所に引っ越してきたんだってよ」
「へぇ、そうなんだ」
僕はAくんに笑いかける。
「近所なんて偶然だねー。あっ、僕は吉良ヒロトって言うんだ。よろしくね」
「こちらこそよろしく、吉良くん」
「いいよそんなよそよそしくなくて。ヒロトって呼んでよ。みんなもそうだから」
「そっか。じゃあヒロトで」
これが僕たちのファーストコンタクトになった。ふと玲名のほうを見ると目を逸らされた。どこか玲名は近寄りがたそうであった。
「そういや一つ聞きたいんだけど……」
僕は他のクラスメイトをさりげなく避けて玲名の席に座った。
「Aくんって制服、わざわざ変えたんだね。急だったのによく取り寄せられたね〜。あっ、うちの学校の学ランの色グレーだから珍しいでしょ」
少しだけAくんが目をそらした気がした。しかしそれは一瞬で、彼はすぐに笑って答えた。
「せっかく残りの学生生活をここで過ごすんだから、どうせならと思って制服も変えることにしたんだ。先生に聞いたら、卒業生から譲ってもらえたしね」
「なるほど！ それは良かったじゃないか」
僕は他のクラスメイトと一緒にAくんと一限開始のチャイムが鳴るまで話し込んだ。
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沙夜（改）(プロフ) - 葉兎野鳥さん» 最後まで読んでいただきありがとうございました！まさにその通りだと思います…終わらないでしょうね〜ヒロトが完全に連鎖を断ち切ったわけではないので…あくまでこの場での収束かなと。また機会があれば読んで頂けると幸いです。 (2018年10月8日 20時) (
レス) id: 2f6e543b6c (このIDを非表示/違反報告)
葉兎野鳥(プロフ) - またこういう作品を作ってほしいです。素敵な作品をありがとうございました。 (2018年9月27日 1時) (レス) id: fad212b8a4 (このIDを非表示/違反報告)
葉兎野鳥(プロフ) - とても考えさせられる作品でした。完全なハッピーエンドで終わらないのも、その先を見たいのに見れないっていう虚しさを残らせました。ひとりかくれんぼは終わらない、そんな気がしてなりません。また他の誰かが同じことを繰り返してしまうかもしれませんね。 (2018年9月27日 1時) (レス) id: fad212b8a4 (このIDを非表示/違反報告)
沙夜（改）(プロフ) - 枢さん、ご閲覧ありがとうござます！読んで貰えてこちらこそ嬉しいです…ありがとうございます！これからものんびりやっていきます、よろしくお願いします〜！ (2018年5月4日 21時) (レス) id: 2f6e543b6c (このIDを非表示/違反報告)
枢 - 長いことこちらのサイトからは離れていたのですが、偶然立ち寄った際にこうして再び沙夜さんの作品を拝見できて嬉しく思います。今後も御自分のお好きなものをお好きなように創作して下さると幸いです。これからも応援しております。長文失礼致しました。 (2018年5月4日 0時) (レス) id: 714c8b0c42 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：沙夜 | 作成日時：2018年2月11日 18時
