DAY3 天然 ページ5
*
「すみません」
ガヤガヤとした男臭い部屋に
Aの声がよく響いた。
「あの、
たなざわくんとともたかくんって
付き合ってますよね？」
右手を挙げたAの腕から
ダボついた袖が
するり、と下に落ちる。
それと同時に皆の空気も沈む。
「…えーっと、ミズナちゃん？
ごめんね、付き合ってないんだ」
何故か申し訳なさそうに
たなっちは頭を掻く。
「……いや！
私の目に狂いはない……！！
120%！！付き合ってる！！」
バンッ、という
(思った以上に軽い)音と共に
Aは立ち上がる。
「何故なら……
たなざわくんは笑顔が素敵な可愛い系に対し、ともたかくんは落ち着いたクール系、でも少し抜けている所があって完璧に格好いい訳ではない。
たなざわくんは好きな人には面倒見がいいタイプだと分析させて頂いたので、そんな抜けているともたかくんに対して母性本能というか、色んな気持ちが混ざってあれ？好きかも？という状態。
鈍感なともたかくんにアプローチする、最高のゆるふわカップルであると言い切れる。
可愛い系攻めと鈍感受けという王道、でもやっぱコレが一番しんどいよね、という神組み合わせ。
これは付き合ってるとしか言いようがないですね
というわけで
120%あなたたちは付き合っている」
Aは一切息継ぎすることなく
二人への愛を語る。
「……あの、もう一回お願いします」
Aが天然だと分析したトマトクンは
皆、お腹一杯だと感じている
この地獄語り女の話を
平気な顔でおかわりした。
「…天然ってすげー」
たなっちは呆れ顔で
二人を眺めた。
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作者名：なすび | 作成日時：2019年8月28日 0時
