名探偵の弟は特一級異能力者らしい

名探偵の弟は囮らしい ページ30

「それで、俺に無許可で出て行ったと？」

『大袈裟だよ、ゆっちゃん。一日外泊というか自分の家に帰るだけ』

電話越しでもわかる綾辻先生の怒りのこもった声

よく普通にいられるな……

『大丈夫。明日の朝戻るから』

「……わかった」

そう言って電話を切ったAさん

此処は綾辻先生の事務所に入る前まで住んでた家らしい

普通にしっかりした家だ

『じゃ、この部屋がみっちゃんの部屋ね。夕飯作るから絶対にこの部屋でのんびりしてて〜』

そう言ってAさんが出て行く

庭に出てポストを開けると手紙があった

殆どがファンレターと依頼の手紙

成る程、矢っ張り

彼は怪人二十面相か

ふっ、矢張り予想通り！

これを上に報告したら功績があがる

でも……

私は考え直す

あの人に限って悪い事はしてない

もし悪い事をしたら言えばいい

今は困ってる人の協力をしてるいい怪盗

私は手紙をポストに戻して家に戻る

こうやって捕まえようとしてるんだから

そう思っているとドタバタと走る音がしてエプロン姿にAさんが焦った顔をして私を見る

なんか、似合ってるなあ

なんて思ってると大きくため息をつかれる

「な、人の顔を見てため息をつきなんて」

『ごめん……というか僕言ったでしょ？あの部屋にいてねって。攫われたらどうするの？』

そう言いながら台所に戻っていくAさん

……あれ、もしかして私心配されてた？

なら凄く失礼な事言ってしまったな……

あとで謝ろう

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