SURVIVAL (ページ10)

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「あれだな、ファントムって」

ファントムはゆっくりと、こちらへ歩いてくる。
恐怖に思わず足が竦んだけど、大ちゃんが俺の肩をポンとたたいてくれた。

「俺と山田で先攻する。伊野尾ちゃんと大ちゃんは俺らが惑わせてる間に狙って」

ヘッドセットから聞こえた光の指示に、俺は小声で「了解」と応じた。

光と山田が木陰から飛び出してファントムを撃つ。
全身に弾を浴び、ファントムの身体を覆っていた黒い布が剥がれ落ちる。

布がずり落ちて姿が顕になったファントムは、髪はなく、全身が赤黒く変色していた。それなのに目だけが異様なほどにギラギラと光を放っていて、端的に言うと、グロテスクなゾンビのようだった。

「くそっ……」

ライフルの弾はファントムの身体に食い込み、そのまま沈むように吸収されていく。ファントムは腕を振り回して、先攻の二人に攻撃しようとする。

飛び出した大ちゃんがファントムめがけてグレネードランチャーの引き金を引いた。

よろめいたが致命傷を受けた様子もないファントムは、再び腕を振り回して攻撃の手を緩めない。

「全然効いてない……」

大ちゃんは呆然とした表情でそう呟いた。
俺はファントムをじっと観察する。

弱点はどこだ……

ファントムが一瞬、こちらに背中を向けた。
同じように赤黒く変色しているが、ライフルの流れ弾が当たったのか、そこからだらだらと血が流れだしている。

狙いは背中だ。

身をかがめたまま走って、ファントムの後ろに回り込む。

「光！山田！避けてて！」

力を込めてグレネードランチャーの引き金を引く。
耳を裂く破裂音に、思わず腕で顔を覆った。