SURVIVAL (ページ23)

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Hikaru side.

「ところで今フラッグはどうなってるの？」

『さっき一つ撃ったよ』

裕翔が繋がれた無線の連絡を本題に引き戻すと、圭人がそう答えてくれる。

「俺らもさっき2つ目を見つけて。でね、今3つ目を見つけた」

裕翔が崖の向こうに現れた赤いフラッグに視線を移しながら、マイクにそう言った。

『じゃあ4つ目を探そう。まだ時間はあるから大丈夫だよね』

山田がそう言うと、『了解』と知念の声が聞こえた。

俺は崖の向こう側のフラッグを狙って引き金を引いた。フラッグの端に弾が当たり、鋭い音がして崖の岩が抉れたのが見えた。

「よし。あと1つだね」
「戻ろうか」

崖を離れて再び深い森の中へ戻る。
少し奥へ進むと、生い茂る木が少しひらけた場所に出た。

太陽の光が差し込むだけで、こんなにも明るくなるのか。
当たり前のことなのに、そのありがたみをこんな形で感じさせられるとは思わなかった。

右からカサカサと草が擦れる音がして、反射で銃を向けると、「待って」と裕翔に手で銃身を下げられた。

裕翔の視線の先にいた二匹の小さなきつねだった。

そっと近づいていく裕翔に、きつねは怯えて距離を取っている。

「何もしないよー。大丈夫だよ」

優しく声をかける裕翔のことを、危険ではないと判断したらしい。
一匹が裕翔の足元に来て、カリカリと裕翔の靴を引っ掻きはじめた。裕翔が嬉しそうにきつねを抱き上げると、もう一匹もすぐに走ってきて、裕翔の前にちょこんと座った。

こんな事してる場合じゃないのはわかってるんだけど……

ミッション終了時刻までは、あと1時間。
俺は薮に無線を繋いだ。