9人9色~恋模様~ (ページ7)

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同級生 × 黄色ページ7

忘れ物を取りに教室に入る

誰もいないと思って入ったのに、先客がいた

「…あ、A？ど、どうしたの？」

「ちょっと忘れ物…八乙女くんは？」

笑った時の八重歯が印象的な八乙女光くんは

クラスのムードメーカー的存在

誰からも好かれ、気取らない性格なのがまた良くて

クラスの委員長もしていて、とっても頼れる

そんな彼が、教室に1人で残っていた

しどろもどろになる八乙女くんが立っている席は…

「…あの、そこ、私の席だよね…？」

「…え?!あ、ほ、本当だ～ごめんな～？」

そう言っておどけて離れてく八乙女くんは、リュックを背負い「また明日な」って私の横を通り過ぎていく

「またね」って手を振り返そうと振り向くと、八乙女くんのポケットから、何かが落ちた

「…？八乙女くん、何か落ちたよ？」

「へ？…あっ！だめ！」

慌てた八乙女くんは、机につまづいて派手に転んでしまった

けど、私の意識は手元の手紙に集中していた

"Aへ"

「…これ、私に？」

座り込んでいる彼は顔を真っ赤にして「あーあ…」と呟いた

流れる沈黙ーーーーー。

おもむろに立ち上がった彼が、私の方を向く

「…それ、渡そうと思ったんだけど、直接言うわ」

真っ直ぐ私の瞳を見つめる彼の表情は優しくて

そんな顔で見つめられたら、

こっちが照れちゃうじゃん…！

「Aちゃん、俺と、付き合って？」

そう言って差し出された左手を握り返すと

照れくさそうに笑う姿に、

高鳴る心臓の音が、心地よくリズムを刻んでく

(End...)