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転校生 × 黄色 ページ16

いつもと同じ時間のバスに揺られながら、学校へと向かう

一番後ろの一番奥が、決まって私の指定席で

今日もいつものようにイヤフォンを耳に入れてお気に入りの曲を流す




朝と帰り

バスに揺られながら音楽を聴くこの時間がすごく好き




小さな幸せを感じていた、そんなある日






「...あの、」



「...?」






いつも通り音楽を聴き始めると、見慣れない男の子が隣にやってきた

しかも髪色ピンクとか...どこの不良?

ていうかうちの制服着てるし



なんて考えていたら、彼は派手な髪色に似合わず、おずおずとした態度で声をかけてきた





「...えと、多分、イヤフォン、ちゃんとささってないですよ?」


「へ...?」


「音漏れ、してる」


「うそっ...あ!ご、ごめんなさい!」





気がつかなくて、慌ててイヤフォンを外して確認すると、聴いていた曲がバス内に流れていた

周りの視線が痛くて、慌てて頭を下げてイヤフォンをしまった





恥ずかしい、どうしよう...



すると、その男の子は変わらずにおどおどしながら話しかけてきた




「あの、えとっ...さっきの、曲、レッチリ...だよね?」


「うん...知ってるの?」


「...俺も、好き、なんだよね。あ、ほら!」





そう言って鞄から出したiPod

差し込まれたイヤフォンの片方を渡された

耳に入れると、流れてくるのは一番好きな曲




「...これ、一番好きっ!」


「ほんと?俺も...すげぇ、好きなんだよね」





2人で話しながら聴いた、大好きなアーティストの曲





朝と帰り、同じ時間に乗る八乙女くんとのこの時間が

私はもっともっと、好きになった






(End.)

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作者名:時雨 | 作成日時:2015年8月6日 22時

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