転校生 × 黄緑色 ページ15
なんの変哲もないと思っていた、学校生活
2学期になったところで、私を取り巻く環境なんか変わらない
地味で真面目ってだけで、クラスの人たちは相手にもしてくれない
ただ、静かに自分の席で好きな本が読めるのはすごく嬉しいけどね
このまま青春らしいこともなく過ぎていくんだと、そう思っていたのに
「今日からこのクラスに転校してきた、薮くんだ」
「はじめまして...薮宏太です、よろしくお願いします」
「席はAの隣が空いてるな...学級委員だから、なんでも聞けると思うぞ」
長身で上品なイケメン
そんな彼が歩くだけで、みんなため息が出るほど
地味な私とは対照的
「はじめまして...Aちゃん、よろしくね?」
「よ、よろしくお願いします...」
視線を本に戻そうとしたら、なぜだか机をくっつけてきた
不思議がる私に気がついたのか、彼は「教科書まだ届いてないから」と言って勝手に机の間に広げた
放っておこう、と視線を本に戻すと、隣から感じる視線
どうにも無視しきれずにちらっと見れば、嬉しそうに笑う
「へへっ、やっと見てくれた!...それ、何読んでんの?」
「...山田、悠介」
「ああ!知ってる!俺、リアル鬼ごっことか好きだよ!」
「...ほんと?」
それから、授業そっちのけで2人で話し込んで先生に怒られた
だけど薮くんは舌を出して「やっちゃったね」なんて笑う
怒られたけど、不思議と嫌じゃないのは
きっと、あなたと一緒だったから
「え?全部持ってんの?じゃあ今度貸してよ!」
「うん...明日、持ってきてあげる」
ちょっとした、青春の変化
変えてくれたのは、間違いなく薮くん
あなたと出会って、私の世界は変わり始めた
(End.)
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作者名:時雨 | 作成日時:2015年8月6日 22時