【コラボ】学園という名の…②【歌い手】 (ページ19)

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証拠～女主視点～ページ19

またボーっとしていたが気になって後を追った

そしたら空君がナノくんに抱き付いていて
肩が…震えていて

泣い…てる…？

『空君…』
私が呼ぶとナノくんが空君の耳を塞いで

「――来るな…今は来るな」
そう言われた
ああ、私のせいで泣いているのか…やっとわかった

その瞬間、胸の中で何かが溢れるのと同時にスッと顔が変わるのを感じた
ナノくんはそんな私を見て更に睨む

「…なんでそんな表情の抜けた顔をするの？」
『…わからないんです』
私はそれだけ言って部屋に向かった

・

『…―あ、帰ってたんですか先輩』
「あ、おかえり柚子ちゃん！」
「お邪魔してます」

部屋にはろん先輩と…姫歌ちゃんがいた
珍しい事ではない
２人はとっても仲がいいから

「そうだ！柚子ちゃん少し話さない？」
突然パンっと手を合わせて言う姫歌ちゃん

『…ごめんなんさい…私これから「お願い！！」…でも』
「少しだけ付き合ってあげなよ」
ろん先輩に言われたら断れない

仕方なく姫歌ちゃんについて行く
「行ってらっしゃーい」
『…行ってきます』
一言そう言って部屋を出た

「で！話なんだけど」
くるりとこちらを振り返る姫歌ちゃんはどこか怪しい笑みを浮かべていた

ここは屋上
もう少ししたら鍵を閉めに来るんだろうけど…

「柚子ちゃんにお願いがあってね」
『なに？』
「これで―――――

　

　 ――…空君を傷つけてほしいの」

そう言って小振りなナイフを差し出す
私は一瞬固まって

『…嫌だよ』
「どうして？」
『どうしてって…そりゃ、そんなことしたくないからだよ』
できるだけ余裕を装って笑う
でも姫歌ちゃんにはばれているようだ

「そう…じゃあ貴方が傷つく？」
『…それも嫌だな』
痛い思いをするのは嫌だ

姫歌ちゃんは「我がままだなー」なんて楽しそうに笑う

『反対に聞くけど…どうしてそんなことしなくちゃいけないの？』
「そ・れ・は！柚子ちゃんが本当に私を信じてくれてるか証拠がほしいから！」
『…は』
そんなことのために誰かを傷つけろと
この子少しおかしいんじゃ…？
でもそんな証拠が残れば私は本当に姫歌ちゃんの…

「さあ、どっちがいい？特別に選ばせてあげる！」
ずいっと詰め寄ってくる
ここで断ったら空君達が危ない目にあうかもしれない

『いいよ…私をそれで傷つけて…？』
体の数か所に鋭い痛みを感じる
また空君を追い詰めるのかな…