【コラボ】学園という名の…②【歌い手】 (ページ17)

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このままでも～女主視点～ページ17

『…ふぅ』
やっと授業が終わった

終わりの鐘が鳴った瞬間から騒がしくなるためすぐに教室を出る

この一週間、姫歌ちゃんは特に何もしてこなかったし、言ってこなかった
ただ、ろん先輩との距離が縮まっている気がする……私以上に

学校が終われば毎日のように部屋に来るし…
その度に私は先に寝たりあの場所へ行ってたり

『はぁ』
教室とは打って変わってとても静かな廊下をぽつぽつと歩く

あそこ…行きたいな
もう月が見えているだろうか

自然と足がそっちへ向かっていく
その間どう進んだかは覚えてないが、気付けばそこで立ち止まっていた
そして―――

『…空君？』
空君もこの場所好きだったりするのかな…？

なんて考えてると空君がベランダの手すりに腰かけて…なにやら下を見ている
どうしたんだろう…
上ばかりを見ていても危ないが、なんだか今にも落ちてしまいそうで

『空君飛び降りちゃダメ！』
自分でも無意識のうちに声をあげていた

すぐにこっちを振り返ってくれて少し安心する

でも…なんだろう…
空君の表情が冴えない…
私を見てなんだか悲しそうな…そんな顔をしている

『…空君？どうしたの？』
近寄って聞いてみた
危ないから手すりからも降りてもらって

「柚子…」
『ん？』
少しだけ笑って見せる
ほんとにどうしたんだろう
こんな顔を私に見せるなんて…

「…ねぇ…ちゃんと笑って」

『…え』
その言葉に顔が凍り付いたのがわかった

『あはは、ちゃんと笑ってるよ…？』
私がそう言うと空君は顔をしかめて

「…もういい」
そう言って何処かへ行ってしまった

１人になってさっきよりも風を冷たく感じる

『…ごめんね…自分でも…わからないんだ』
手すりに寄りかかって呟いた

本当にわからないんだよ
どうしてこんな顔しかできないのか

でもさ…

『皆に心配かけないには…これが一番な気がするんだ…』

誰に対しても同じ顔で対応できる
生徒会の人たちにも、ろん先輩にも、姫歌ちゃんにも

これが一番いいんじゃないかな…って思うんだ

―――だからこのままでも…わからないままでもいいかなって…