【コラボ】学園という名の…②【歌い手】 (ページ14)

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退院～男主視点～ページ14

『はぁ…』
一週間…
入院してすっかり痩せた
薬の所為か食欲はなく一日二食というのが当たり前になっていた
食べても食べても戻してしまう
この一週間学校で何があったのかはよく知らない
胸のあたりの痛みが少し残っているため無理をしないようにナノが監視するらしい
治療中は誰とも面会禁止だった
もちろんナノとも

『柚子大丈夫だよな…』
いきなり学校を休んでしまった
まあろん先輩が言ってるだろうな

「空！」
病院の入口を出るとひと里先輩がいた

「退院おめでとう！」
本当におめでとうだよ
もうあの治療は受けたくない
一日に何回も検査を受ける
検査でわかったことだが発作は喘息に似ているらしい
発作は精神の不安定からもくるらしいので精神安定剤を毎日打つらしい

「これから学校？」
おっと…
ひと里先輩忘れてた

『まぁ、はい…』
肩から下げているバッグは軽くなった俺の体にはきつい
さっきからフラフラだ

「そっか…頑張ってね！」
あえてろん先輩のことを触れなかった
とりあえず学校へ行こう
・
・
・

『ただいまー』
と言いながら校門をくぐり抜ける
生徒会室は相変わらず騒がしいのかなーなんて思いながら寮の廊下を歩く

『荷物こんなに重かったっけ？』
一回止まり荷物を置く
この一週間で恐ろしいくらい細くなった自分の腕をみる
急に怖くなった

『っ！……』
発作か喘息かわからないが息苦しくなる
バッグから安定剤を取り腕にうつ
そしてポケットから喘息でも発作でも効く呼吸を整える薬を吸う

―…『もう行くか』
少し落ち着いたところで再び歩き出す

廊下を通り抜けて渡り廊下に差し掛かるとき会ってしまった

『柚子…』
「空…君…」
一週間ぶりに見る彼女も細くなっていて
目は赤く腫れていた
毎日泣いていた？

『ろん先輩とはどう？』
一番気になっていることを聞いてみた

「ああ、うん…まぁ」
曖昧な返事でもよかった
何もされてないみたいだから

『じゃあね…』
スリッパをカゴに入れ中用の靴に履き替える

「体調はもう大丈夫なの…？」
やっぱり知ってたか
大丈夫と答えて階段をあがった

柚子が毎日泣いていたかと思うと胸が締め付けられた

『ごめんね…』
そんな言葉も虚しく響いて消えていった