【コラボ】学園という名の…②【歌い手】 (ページ13)

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これでいい～女主視点～ページ13

『…ただいま、です』
ガチャッと部屋の扉を開ける

それと同時に突き刺さるろん先輩の目
ぐっとつまるのを感じながらも恐る恐る口を開く

『姫歌、ちゃんは…』
「帰ったよ」
『そ、ですか…』
私が部屋に入れずにいるとろん先輩が手招きした

『…？どうしたんですか？』

私が近づくと座るように指示されて

「…空、きっと入院することになるよ」
そう言った

入院…さっきの発作…
なんでろん先輩が知ってるんだろう…ああ、姫歌ちゃんか

『そうですか…』
「あれ、もっと取り乱すかと思った」
『あはは…大丈夫ですよ』
「そっか…じゃあもう一つ」
そう言うとろん先輩は私の肩をガシッとつかんだ

あ、これ逃げないようにかな…？
どうしよう、なんとなく今から言われることわかった気がする

「柚子ちゃんはさ、本当は空が何もしてないって思ってるでしょ？」

―――やっぱり

きっと姫歌ちゃんが言ったんだろう
さっきの空気じゃ気付かれてもおかしくない

でもきっと憶測の範囲だろうし…このまま騙せる？

「ねえ、答えて！本当は姫歌ちゃんが自分でしてるって思ってるんでしょ！？

　 ――――姫歌ちゃんが悪いんだって思ってるんでしょ！？」

必死な顔で声を荒げるろん先輩

ろん先輩は悪くない
むしろこういうところは長所だ
先輩のこういうところをきっと好きになったんだ

『――――…大丈夫ですよ？
　私も姫歌ちゃんのこと信じてます』

自分でも驚くほど感情のこもっていない声だった

「……そう」
ろん先輩は私を放して自分の机へ向かってしまった

―――――――
―――――

『…はぁ』
只今、深夜３時
眠れません

ろん先輩は…ぐっすり眠っている
起こすわけにはいかない
というかあまり話さない方がいいと思う

『……』
私は無言で部屋を出て、風に当たれる場所へ行った
鍵はかかっていないし、なにより月がよく見える

迷っていた時にたまたま見つけた

『…ある意味才能かも』
そんなくだらない事をぼやく

―――今日の月は綺麗な三日月だ

今にも消えそうなのに存在感を感じる

『……っ』

気付けば腕が濡れていた

何で濡れていたかは…

『…これで…いいんだよね』

―――――気付かないフリをした…