ハグ厨、ハグ中。

◆ ページ15

「は…？」


走ってきてあげたってのに、随分ふざけた登場だな。



「今回はさとみくんに見て欲しいものがあります」

「…じゃーん、」



謎の登場は無かったことにして、なーくんが後ろからなにやら物を取り出した。

るぅとのやる気ない効果音とともに出されたのは…



「…なにこれ、なんの機械？」

「せーのっ」



「「「名付けて」」」

「ドキドキワクワク彼女ちゃんボイスー！」
「レナの為の天使の囁き！」
「…」



…なにこれ



息あってないし。なんなら機械の名前も違うし。

レナは何も考えず拍手してるし。
なーくんはドヤ顔してるし。
るぅとは興味無さげだし。なんなんこれ。



「…で、結局これはどういうもの？」

「よくぞ聞いてくれたさとみくん」



普通聞くと思うけど



「簡単に言うと、これは“Aの声”です」

「…つまり、これでAの声が聞けると？」

「もちろん！」



…なんだ



「ごめんけど、俺盗聴器持ってるし本物の声聞けるからいいや、じゃ」



色々やばい気がするし…(手遅れ)
さすがに踏み入れてはいけない場所だ(手遅れ)


屋上から出ようと、ドアノブに手をかけたその時





《別にどうでもいいんだけど、まだ行かないで欲しい》



「っなーくん！それっt…」



「わああああああああああお姉様ああああああありがとうございまあああああああす！！！！」

「ツンデレなA先輩かあいいよおおおお！！お持ち帰りしたいよおおおお！！」

「…ふぅ」



振り向くとそこは、異次元でした。

異常すぎるその光景に開いた口が塞がらない。



…さっきの声は本当にAそっくりだった。

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