黒ノ桃 II (ページ37)

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松村side

樹の口からポツポツ出てくる言葉、多分これが樹の本当の気持ちなんだろう。
目黒とジェシーから言われてた、樹は強がってるだけだって、だから樹が抱えてる苦労も不安も全部受け止めてあげないといけないこと。

「樹は俺のこと好き？」
「、、好きだよ」
「良かった、俺は樹を愛してる。だから樹と一緒にいたい。好きになった人が偶々障害者だった、それだけ。
他の人と比べたら出来ないことも多くて助けが必要になると思うけど、樹が出来ないことを俺がやることは俺には普通なんだよ、だから負担とか迷惑とか思ったことないよ。自分が好きでやってるんだから縛られてるとか感じたことない。
それと、俺は樹が男だってことも、車椅子だってことも気にしたことないよ、樹は樹でしょ」
「、ｸﾞｽｯ、、ﾋｸｯ、、」

目から涙が溢れてる樹、落ち着くように背中を撫でてあげる。

「ｸﾞｽｯ、、俺、北斗を、幸せに出来てる？」
「出来てるよ、俺は樹から幸せをいっぱい貰ってるよ」
「本当に？ﾋｸｯ」
「本当だよ、樹がいるから仕事頑張れるし、樹がいるから毎日楽しいんだよ。仕事から帰ってくるとお帰りって笑顔で出迎えてくれる、一緒にご飯を食べて、お風呂に入って、樹を抱きしめながら寝る。些細なことでも俺にとっては大きな幸せなんだよ」
「、ﾋｸｯ、､ｳｩ、ｸﾞｽｯ、」

俺の腕の中で泣いている樹を少しでも安心できるように優しく包み込む。

「樹、思ってること言ってくれてありがとうね。嬉しかったよ」
「ｸﾞｽｯ、、え？」
「俺の前では頑張らなくていいんだよ、俺の隣が樹の落ち着く場所になればいいなって。だから、不安になったり苦しかったら言って欲しい、迷惑じゃないから」
「、ﾋｸｯ、北斗、ありがとう」
「樹、愛してるよ」

今まで聞いたことなかった樹の弱音、でも樹の口から直接聞けてよかった。
俺の想像を遥かに超えるものを樹は背負ってるんだ、だからこそ支えたい。