黒ノ桃 II (ページ23)

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田中side

今日は、少し前に起こした尿路感染のその後の経過観察で病院に来た。
あまり人通りの少ない廊下だったから油断してて、人とぶつかった。
俺は腕と肩の打撲、相手は足を痛めたみたいで動けなくて、でも、俺もこの状態から一人で車椅子に乗ることが出来なくてどうしようか焦った。
結局、相手が呼んでくれた医者が助けてくれて、その後ぶつかった相手、きょもと仲良くなった。
そのままきょもの友達のしめと3人できょもの家でご飯を食べることになって家に来た。

「大我、綺麗でしょ」
「え？」

寝てるきょもを見てたら、料理をしてたしめが突然話しかけて来た。

「俺、ぶつかった時女の子かと思って焦った」
「確かにね、美人だからね」

そんなこんな話してたらご飯も出来た。

「樹～、大我起こして～」
「きょも～、起きて、ご飯出来たよ」
「んん～、ふぁ～～」
「ふっ、おはよう」
「あ、樹、ダイニングの椅子座れる？」
「あ～、無理かも」
「なら、こっちで食べよう」

ダイニングの椅子は胸より下の感覚がない俺にはバランスが取れなくて上手く座れない、だからリビングのソファを背もたれにして食べることになった。

「龍也のご飯久しぶりだ～」
「大我や俺に合わせて薄口で作ったから、樹には物足りないかも」
「いや、美味いよ！」
「そう、良かった」

ずっと気になっていたのは、俺が車椅子の理由を2人は全く聞いてこない。
他の人だったら、真っ先に聞いてきて、可哀想とか同情されるのに。