先生と少年1 ページ1
鬼兵隊の残党が龍脈で無傷の先生と、高杉さんの面影を残す赤子を見つけた。その知らせを桂さんから聞いた時は心臓が止まるかと思った。
先生は意識不明で、慌ててまた子さんが介抱したという。
｢目覚めたんですか？｣
｢うむ。俺も先日会ってきた。記憶もそのままだった｣
先生が、生きていた。
｢でもどうして……先生はあの時松陽先生と共にアルタナに還ったんじゃ｣
｢Aも覚えていないようだったがおそらく……松陽先生が助けてくれたのであろうな。Aも立派な、松陽先生の弟子だ｣
会いに行ってみたらと言われ、僕は力強く頷いた。
銀さんには言わないことにした。先生が生きていたのはともかく、高杉さん似の赤子なんて銀さんに言えたもんじゃなかったからだ。神楽ちゃんと一緒に、教えられた屋敷を目指した。
｢だれだ、おまえ｣
屋敷に向かう1本道で、早速その赤子らしき子供に会った。
おかしいと思った。桂さんは『赤子を拾った』と言ったのだ。目の前にいたのは赤子というか5歳位の子供だった。
｢ええと……A先生に会いに来たんですけど｣
この子供が高杉さんの何かであることは確かだったので自然と敬語になった。
｢ふぅん……こっち｣
男の子は特に僕らを警戒することもなく案内してくれた。
屋敷は落ち着いた日本屋敷で、先生の趣味が伺えた。男の子は縁側に走り屋敷の中に向かって大声で先生の名を叫んだ。
中から彼を窘める言葉を口にしながら先生が出てきた時は、涙が出そうになった。先生はこちらを向いてにっこりと微笑んだ。
｢よく来てくれましたね。上がってください｣
僕らは耐えきれなくなって先生と呼びかけながら先生に抱きついた。少年がずるいとか俺もとか騒いでいたがそんなどころではなかった。
｢新八くん、神楽ちゃん……｣
｢先生ズルいヨ卑怯アルヨ｣
｢すみません、文句なら松陽にでも言ってください｣
騒ぎを聞き付けて奥からまた子さんと武市さんが姿を見せた。
｢アイツは来てないんスか｣
銀さんのことだとすぐに分かった。僕は小さく首を振った。
｢今は邪魔するのはやめましょうか、晋殿もこちらへ｣
｢なんでだよ！｣
｢私が遊んであげるっスから｣
武市さんは僕らの傍に来て、ここには大人しかおらず僕らのような年頃の人が珍しいのだと言った。
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凛 - 早く続きが見たいです！ゆっくりでもいいので更新待ってます！ (2022年12月16日 19時) (
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作者名：風寧 | 作成日時：2019年10月15日 16時
