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ふわ、と暖かい風が吹く。どこからか甘い香りがして、つい目を細めた。ああ、空がきれいだな。そろそろ花が芽吹いて、色彩が戻ってくる季節だ。
春の、季節だ。
○ 春のうた ○
小さなアトリエで、今日もペンを走らせる。窓枠に飾られたドライフラワーが、隙間風に小さく揺れた。絵を描くことがすきだった私は、小さい頃からスケッチブックと水彩道具を片手に、景色を切り取ることが得意だった。切り取った景色を私色に染めて、だれかに喜んでもらうことが誇りだった。
花、空、ひと、もの、からだ、えがお。
目に触れたきれいなものを、独特と言われるタッチで描く。たまあに、悲しみや怒りを描くけれど、それには疲れてしまうから、やっぱりきらきら光るものを描くのがすきだった。
インディーズバンドのCDジャケットや、売り出し中の作家さんの本の表紙、雑誌や広告の挿絵、ときどき、個展を開いたり。少しずつお仕事をもらえるようになってきて、今では絵を描くだけで生活できるようになった。
ありがたいなあ、と思いながら、アトリエを見渡す。花に包まれた部屋とインクの匂い、年季の入ったデスクと椅子、あまり来客の来ない落ち着く空間。この部屋で仕事をすることが、私はとってもすきだった。
そろそろ、色を灯す季節が来る。
まだまだ寒い日が多いけど、今日は太陽が眩しくて暖かい。きれいな日には外へ出て、何かを吸収してしまいたい。コートを羽織ろう、マフラーはいらない、帽子を被って、スニーカーを履こう。友だちの作家さんが作ったかすみ草のピアスを付けて、おじいちゃんに貰ったカメラを下げよう。そして、少し軋む扉を開ければ。
｢あったかい日だなあ｣
あ、ほら。もう見つけた。
手を繋ぐ親子とスーパーの袋。眩しくて優しい笑顔だ。切り取って、記憶にしまおう。男の子のスニーカーについた、泥がまたかわいい。
こうやって私は、すきな景色を見つけて、生活の糧にしていく。フィルターを通す風景を、また絵にしてしまおう。
ペンと筆と、花とうたに囲まれて、私は今日も生きていく。
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やっぱり始めてしまいました、上林さんのおはなし。笑 短編のふたりを連載にしてしまおうか悩みましたが、おとな向けを描いてしまったし、話の発展が難しく感じたためやめました。
ほのぼのしたおはなしを描いていきたいです。相変わらずの年上設定になります。よろしくお願いします。
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aoi(プロフ) - みゆうさん» こちらこそです＊楽しみにしています。 (2019年3月5日 1時) (
レス) id: 1e8b3648c1 (このIDを非表示/違反報告)
みゆう(プロフ) - aoiさん» 見てきただけて嬉しいです！ありがとうございます！ (2019年3月4日 22時) (レス) id: faf8ae436c (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - みゆうさん» とてもありがたいお言葉ありがとうございます…！意識している部分でもあったので、嬉しいです＊そして実は私、みゆうさんのおはなし拝見させてもらってます。私こそ更新楽しみにしています＊ (2019年3月1日 0時) (レス) id: ddb827d49e (このIDを非表示/違反報告)
みゆう(プロフ) - aoiさんの書く小説、主人公の見ている景色や生活の雰囲気だったり、想像力が膨らんで、心がほっこりする言葉の使い方が凄く好きです。更新楽しみにしています！ (2019年3月1日 0時) (レス) id: faf8ae436c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：aoi | 作成日時：2019年2月28日 23時
