春のうた

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両想いになった日から、少しだけ時間が流れた。誠知くんは日本代表に選ばれたり、ホークスに合流してオープン戦を行ったり、それは毎日忙しそうだった。

調子が良くない日が続いていたが、体の不調があると教えてくれたのは、テレビのニュースだった。弱音を吐かずに、黙々と練習に励む彼を、私はどう支えれば良いのかな、なんて悩んだりもしたけど、結局は変わらずにいることが最善な気がした。

会えない日が続いても、毎日連絡はとっていたし、おはようから始まりおやすみで終わるやりとりは、私の楽しみでもあった。




そんなある日、事件(？)は起きた。

アトリエで作業をしていたら、軋む扉が鳴った。ふと視線を移すと、可愛らしい女性が立っていた。私を見つけると、花が咲くような笑顔を見せて、名刺を渡される。



｢私、福岡ソフトバンクホークスの広報部に勤務しております、結城と申します。あの、突然なのですが｣



結城咲、と書かれた、シンプルな名刺。ホークスの球団職員さんが突然訪問してくるものだから、誠知くんとの関係がバレてしまい、彼のために別れてほしいなんて言われるのかとハラハラしたが、そうではないらしい。



｢…、ということなのですが、引き受けて頂けませんか？｣

｢…え？あ、ごめんなさい、｣

｢ふふ、ぼぅとされてましたね｣




笑顔がすごくかわいいひとだ。ピンクが似合う、女のひと。まだきっと若いのに、しっかりしていて偉いなあ、なんて思ってしまった。

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