恋の炎色反応 __ sgi ページ48
「花火ってなんでこんなに綺麗なんでしょう。」
「そうだな、きっと消えちゃうからだよ。綺麗なものは消えちゃうんだ、きっと。」
そんな風にあの夏、あなたは笑っていた。
それならこの美しい恋も本当は消えてしまうのでしょうか。
なんて問いかけ勇気のない私にはできるわけもなくて。
あの夏が終わる頃、あなたは遠くへ行った。
「俺たちって花火みたいだと思わん?」
なんて初めてのデートの日あなたは突然言った。
「なんでですか?」
「炎色反応みたいじゃん?火がつくと綺麗でさ。って、くさすぎ?」
「そうですね、少し?」
なんてそんなふうに笑いあった。
2人の恋に火がついて、色とりどりの炎になる。
なんて、私たちの恋は本当に花火みたいですね。
そんなこと初デートで思うなんて、恥ずかしい自分の思考さえもわからないくらいあなたにきっと溺れていたの。
「須貝さん、!」
「ん?」
「大好きです!」
「ふふっ、俺も大好きだよ」
そんなふうに私たちは恥じらいながらも素敵な恋愛をしていたと思う。
お互いを思いやっててとても幸せだった。
でも、どうしてだろう。
どうして私たちは普通の恋愛ができなかったんだろう。
「俺、留学行くことにしたんだ。」
「え、?」
そんなふうにあなたは突然言った。
あなたはやっぱり人気者で、こんな場所に留まってる人ではなかったみたい。
「俺、アメリカ行くんだ、」
「そ、そうなんですか。」
「ごめん急で。」
なんて、本当はそんなの聞いたら頭が真っ白になると思ってた。
だけどいざ現実となると、やけに頭は冷静で。
どうすることもできないことを頭はちゃんと理解していた。
「わかりました。」
「ごめん。でも、とか言ったらほんとにダメなやつなんだけどさ、ここ、予約してもいい?」
私が涙を抑えて下を向くと、突然手を取られ須貝さんは無理やり私と目を合わせた。
そして指したのは私の左手の薬指。
その瞬間なぜかさっきよりも頭が真っ白になって。
「えっ、」
「絶対もっとAにふさわしい男になってくるから。」
「はいっ、」
その日はボロボロに泣いた。
嬉し涙かも悲しい涙かもわからないものがずっと流れた。
その時ずっと須貝さんは隣にいてくれて。
なんでなんだろう。
頑張って欲しくて、とてもとても応援したいのに。
ぜんぜん泣きたくないのに。
何故だか涙が止まらなかった。
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はるむにに(プロフ) - てけまるさん» よかった〜!!頑張るね!ありがとう! (2020年5月3日 13時) (レス) id: 33dd96b3e7 (このIDを非表示/違反報告)
てけまる - 最後のお話が須貝さんは、私得すぎた!!移行先のお話も楽しみにしてます! (2020年5月3日 11時) (レス) id: 3d0cdf9097 (このIDを非表示/違反報告)
はるむにに(プロフ) - 絹田きぬたさん» ありがとうございます!河村さんはキスというと信じているのですが、意地悪にチューって言って欲しい願望があります。笑 ありがとうございます!頑張ります! (2020年5月2日 20時) (レス) id: 33dd96b3e7 (このIDを非表示/違反報告)
絹田きぬた(プロフ) - kwmrさんのお話…もう最高でした…めちゃくちゃ悶え苦しんでます。河村さん可愛いし、かっこいいし、ずるすぎます!めっちゃ、もう言葉がまとまりません…とにかく最高です!次回作も楽しみにしております! (2020年5月2日 20時) (レス) id: 6912973321 (このIDを非表示/違反報告)
はるむにに(プロフ) - ちょこさん» ありがとー!!私も好き。ちょこちゃん大好き。が、頑張ります、!((笑 (2020年5月2日 19時) (レス) id: 33dd96b3e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はるむにに | 作者ホームページ:
作成日時:2020年3月24日 0時