君の背中 (ページ29)

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２７話ページ29

*

グラウンドの方へ行き席に座る

『近いんだね、スタジアムとは全然違う。』

そう呟くと隣からクスクスと笑う声が聞こえる

『…なに？』

燈「いや、お兄さんいる割には鹿島もだけどほんとにサッカーに興味ないんだなって。」

……

『だからこそだと思うけど。小さい頃なんて休みの日はお兄ちゃんの試合だし、普段も私の生活は…ううん、私たち家族の生活はお兄ちゃん中心だったから。』

・

私の小さい頃は全部がお兄ちゃん中心に回ってた

共働きの両親に変わって祖父母が兄の送り迎えにをしてた

週末も試合だなんだって連れ回されて小さい頃はこのクラブハウスも馴染みのある場所だった

…けどだんだん私はこの場所に来ることを億劫に感じていた

私はいつでも二の次

誰も私のことを気にかけない

だから自然とサッカーからも兄からも距離をとるようになったんだ

・

燈「あ、選手出てきたよ。」