君の背中 (ページ11)

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９話ページ11

*

あれから対した会話もなく私たちはお店を後にした

まだ免許を取っていないと言う兄を隣に乗せて選手寮へと向かう

相変わらず会話のない車内

特に音楽が流れているわけでもない私の車はどう頑張っても沈黙

もう少しで着くことをナビが知らせた時、兄が口を開いた

優「A 過去は変えらんないかもしんねぇけど未来はどうとでもなるんじゃねぇの？」

それは過去を忘れられていない私にとって重い言葉だった

さっきはなんも聞いてこなかったくせに

返す言葉など見つかるはずもなく車内は再び静かになる

そして口を開かない私を見かねて兄はさらに言葉を続けた

優「俺に言われるの嫌かもしんねぇけど１回ダメになったくらいで全部諦めるのって勿体無いんじゃねぇの？まだ１９、２０歳だろ。やり直しいくらでもきくんじゃね？」

私は思わず車を止めた

幸い車通りのない道だった

『何がわかんの？何にもしらないくせに、自分は好きなことできてるからってそんなの自論じゃん。悪いけど綺麗事にしか聞こえないから。』

頭に血が上ってつい言い返してしまった

兄に口喧嘩で勝ったことのない私はすぐに冷静になり兄を見つめた

優「そうだよな、ごめん。」

しかし思いがけない謝罪の言葉に私もごめんと返し、車を走らせた