思い出の場所 (ページ11)

今日:7 hit、昨日:18 hit、合計:5,894 hit

❤︎11 ページ11

.

「え、食わねぇの？」

『あっいや…そうじゃなくて…！』

蘭に手を引かれながら連れて来られたのは、有名なカフェだった

メニュー見てると、どれも美味しいそうなスイーツばかり
有名店だからか、高校生の私から見たら値段が高い…

できる限り、安いものを…なんて思ってドリンクのページへ進もうとすれば、蘭が「財布の心配すんな」って言ったから、勢いでケーキセットを頼んでしまった

『この分は出すから…！』

「だーかーらー、俺が出すから。それに誘ったのも俺だから、付いてきてくれたお礼って事で。ね？」

眉尻を少し下げてお願いされてしまうと、どうしても弱くなってしまう

『わっ分かった…では、いただきます』

「Aちゃんなら、俺のお願い聞いてくれると思ったから良かった」

フッと笑った蘭の顔がいつもより優しく見えたのは、気のせいだろうか…

けど、あまり見つめてたら、また何か言われるかも

そう思って、目の前のケーキをフォークで取り、口へ運んだ

…美味しい

誰かと一緒にケーキを食べるなんて、いつ振りだろ…

蘭と一緒だからか、単純にケーキが美味しいのか

つい頬が緩んでしまった

「あ、やっと笑ってくれた」

『へ？誰が？？』

「この場に俺とAちゃんしかいないのに、他に誰かいるー？」

『ごっごめん…変な顔してたから忘れて！』

「めちゃくちゃ可愛かったけど？」

つられたかの様に蘭も柔らかい表情になってた

あー…この顔は流石に女の子はイチコロだよね

女子が騒ぐ理由もようやく分かったかも

流石にこの表情…私でも良いな、なんて思ってしまう

こんなに温かい気持ちで誰かと一緒にいられるのって

本当に幸せなんだな

この時間が長く続けば良いのに

.