【HQ】乙女ゲームじゃあるまいし！【オールキャラ】

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「とりあえず離れましょう！！！牛島さん離れて！！！そしてスマホを返して！！」

「お前、いい匂いがする」

「あ"ーほら！！そういうこと言う！！今ちょっとあなたおかしいんですって！！1回離れましょう！！！はやく！！」

「A」

「はいAですけど！！離れてくださいってば！！！」


もう半ばヤケクソである。

どうにかしてこの人を引き剥がしつつスマホを取り返してミッションを遂行しなければ。このままじゃ照れすぎて熱出るわ！！！


当の本人はというと、私を抱きしめ首筋に顔をうずめる形になっている。やめて恥ずかしいから！！


________と。




「________若利くん？騒がしいけど誰かいるの〜？」


牛島さんの肩越しに、見知った人影が現れた。

ちらりと見える逆立った赤髪、ぐりっと見開かれた大きな瞳。



「天童さん！！！！」


神が！！！神が降臨した！！！！
もう何でもいいから私を助けてほしい。切実に。



「ん？……って、Aちゃん？…………お邪魔しました〜」

「いやいやいや待て待て待て」


踵を返そうとする背中を慌てて止める。
天童さんは顔いっぱいに悪い笑みを貼り付けてこちらを振り向いた。なんか腹立つなその顔。



「あ、ごめんねお取り込み中。いいよ俺のことは気にしないで続きしてて」

「誤解！！誤解です！！」

「いや〜あの若利くんにもついに彼女か〜」

「私の話聞こえてます！？」



聞こえてるよ〜、とニヤニヤ笑う天童さん。うんもういいや。とりあえず助けてもらおう。誤解は後で解く。決定。


「天童さん、詳しいことは後で話すのでちょっと牛島さんからスマホ取り返してくれませんか！？」

「スマホ？……ああ、若利くんが持ってるピンクのやつ？」

「そうです！それ私のなんで……っうわあ！」



なんとかコミュニケーションがとれたのも束の間、牛島さんに抱きくるめられて顔を隠されてしまった。

うおおこれじゃ話ができない！！そして息もできない！！



「……何の用だ、天童」


威嚇するような低い声が寮の床を這う。


「Aは渡さない」

いや少女漫画かよ！！天童さん頑張って！！私を助けて！！

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