東京合宿・day3 8 ページ8
というかそもそもお互いのいない状況に慣れた方がいいと言ったのだから、連絡がない事にも慣れておいた方がいいに決まっている。いいに決まっているけど、ないならないで寂しく感じる自分は本当に天邪鬼だと思うと小さく溜息をついた。
かと言ってああ言った手前自分から連絡するのも……と携帯をポケットへ入れて顔を上げたその瞬間、思い切り誰かにぶつかってしまい、その拍子に弾かれて体勢を崩してしまう。
「わ……!?」
「っと!?危ない!」
倒れそうになったところを間一髪腕を掴まれ体勢を戻される。驚いて目を見張った先に見えたのは黒尾さんだった。
「!黒尾さん!?す、すみませんちょっとよそ見してました……!大丈夫ですか!?」
「いやいやそれはこっちのセリフ!Aちゃんこそ大丈夫!?」
「は、はい、黒尾さんのお陰で。すみません……」
黒尾さんも驚いてこちらを見ている。黒尾さんに怪我がなくてよかったとホッとしつつ頭を下げると、黒尾さんは首を横に振ってニッと笑みを見せてくれる。
「それなりに鍛えてるからな、Aちゃんみたいに軽い子にぶつかられたぐらいじゃなんともねーよ。……ん?…………」
と、突然黒尾さんはこちらをじーっと見つめる。それに私はきょとんとして黒尾さんを見上げた。
「………??あの、どうかしましたか?……まさか、やっぱり今のでどこか痛めたとか───」
「あ───っ!!!!」
もしかして時間差で痛みが出てきたのかと青ざめて声を上げたがそれは黒尾さんの叫びに掻き消されてしまい、私は驚いて肩を震わせた。と、黒尾さんは再度私の腕を掴むとその場から私を引っ張りながら猛ダッシュした。
「えっ!?わ、黒尾さん──っ!?!?えっ!?どうしたんですかっ!!?」
突然走り出されて慌てて付いていきながら声をかけるが、黒尾さんの返事はない。と、割とすぐに目的地に着いたらしく黒尾さんの足が止まるのに、私も足を止めて呼吸を整える。
「何クロ騒がしいよ…………あれ?A?」
「えっAちゃん!?」
「おーっ!姫さーん!いらっしゃーい!!」
「うわあこんなむさ苦しい所に……!」
「なんだなんだ、どうした黒尾なんで姫さん連れてきた」
「……??音駒の皆さんのお部屋……??」
黒尾さんがドアを開けると一気に視線がこちらへ集中する。聞こえてきた声に黒尾さんの背後から中を覗き込んでは、音駒の皆の声が聞こえてきたのに目を丸くした。どうやら音駒部屋に連れて来られたらしい。
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作者名:さくら | 作成日時:2020年6月10日 22時