東京合宿・day7 4 ページ35
「………………復活した……」
しょぼくれモード終了。いつもの木兎さんに戻ったのに呆気に取られて呟いていると、海さんと夜久さんが笑う。
「いつもあんな感じだからな」
「下がるのも早けりゃ上がるのも早いからな〜、梟谷の奴らは慣れっこだよ。梟谷は、木兎をメンバーが引っ張るチームだからな」
「逆じゃないんですね……」
木兎さんが引っ張っているチームだと思っていたけれど、そうではなかったらしい。でも、きっとあのチームは木兎さんとメンバーの引っ張り合いなんだろうなと思いながら笑みを漏らすと、ふと気付く。
遠征の時に思ったあの違和感の正体。なんとなくだけど、木兎さんって徹くんと似たようなとこがあるんだ。
とはいえ木兎さん程徹くんは上がり下がりは激しくないし、なんならチームメンバーからの扱いも、青城は徹くんには良い意味で扱いが酷いので、木兎さんの方が大事にはされていそうに見えるけど。
でも、チームメンバーから絶大な信頼を得ていて、ここぞとばかりの時は必ず頼られる。
木兎さんと話してて、似た空気を知ってるような、って思ったのはこれだったんだな、と漸く私はあの時の答えに辿り着いたのだった。
─────────
「これだけあればいけるでしょ……！」
「多分！いやー沢山作ったよねー！」
合宿中の全試合が終わり、私達マネージャーは家庭科室へと集まっていた。
なんとここでもおにぎりを握る事に。これから合宿お疲れ様BBQ大会なので、その付け合わせにおにぎりを作ることになった訳だ。音駒の皆にも何か作ってあげられたら、と思っていたからちょうどよかった。
大量のおにぎりの山を見つめ、皆で満足気に頷いてはそれぞれが大きなお皿を持って家庭科室を後にする。
体育館の外でBBQの準備をしていた皆の所へと行くと、全員が表情を輝かせた。
『！！！そ、それ！！！姫さんが作ってくれたんですか……っ！！？』
「はい、このお皿のは私が。遠征の時、お世辞かもしれませんが手作りのもの羨ましい、って言って下さってたので……簡単なものですけど」
『よっっっしゃああああ……！！！！』
山本さん、犬岡くん、芝山くんが思い切りハモるのに笑ってしまいつつ頷くと3人が飛び跳ねた。烏野もそうだったけど、簡単なものでも喜んでもらえるのは本当に嬉しい。
「研磨聞いたか……うちのマネがおにぎり作ってくれたぞ………俺達の為だぞ………！」
「……クロ落ち着いて。嬉しいのはわかるけど……泣きそうじゃん……」
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作者名：さくら | 作成日時：2020年6月10日 22時
