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1のAの教室に入って自分の椅子に座る。
座学の時の席は影山くんが隣だ。その席に孤爪先輩は座った。
「それで、何の話でしょう。したい話、とは」
そう言うと孤爪先輩はゆっくりとこっちを向く。
「なんで世界滅ぼさなくちゃいけないの」
唐突にそう言う。
「……さあ、それが私に課せられた運命だからでしょうか」
少なくとも、それは私自身が知りたい事な筈だった。
何故私が夕闇燈の生まれ変わりとして生まれたのか。何故それだけで世界を滅ぼさなくてはならないのか。
「ふーん……」
自分で聞いておいてそれか、と思うけどこれ以上踏み込まれても困るためこれで良かったと安心する。
「もう、いいですか?」
笑って孤爪先輩を見る。つまらなそうな顔をして孤爪先輩は頷いた。
多分、何が起こるのか分かっている。今この瞬間に起こる事も、数ヶ月後に起こる事も、自分が死んでから起こる事も全てを把握している。
あぁ、まただ。また、意識が遠のいて行く。遠のいて行って、
____________戻ってくる
閉じていた目を開ける。まず蒼海Aが今まで何をしていたのかを探る。
「なんで記憶にロックかけるかなぁ……」
ため息をついて小声で言う。いや、小声で言わなくても別に孤爪研磨、あぁ、先輩と言った方がいいのか。
孤爪先輩の個人魔法で私が今どうなっているのかは分かっている筈だ。
私が、夕闇燈である事が、分かっているはずで。
「……あ、久しぶり、夕闇燈」
まるで友人のように孤爪は言う。
「そうね。久しぶり、孤爪。死に際に会ったくらいだけど」
どうでもいい事のように、そう言って笑う。本当にどうでもいいのだが。
「あ、クロが来るね」
クロ、黒尾鉄朗の事か。……テツ先輩か。
孤爪先輩はテツ先輩が来ると言ってから教室を出ていった。
それから数十秒後にテツ先輩が来る。
「テツ先輩おはようございます」
挨拶はしておく。学校の時間はあまり入れ替わりたくないが、しょうがない。
「はよ、A。頭痛いの、治ったか?」
そう聞いてくる。まあ入れ替わりが既に完了しているのだからそりゃ治っているだろう。
「はい、ありがとうございます」
そう言うと、おう、という言葉と共に笑顔が返ってくる。
私と蒼海Aの区別もつかないんだあ、なんて笑いそうになるが、声には出さない。
私から蒼海Aに戻るまであと2時間。
そして、世界を滅ぼすまであと3ヶ月。
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作者名:凛花 | 作成日時:2017年1月9日 16時