最終章〜呪いが解けた世界〜 ページ29
滅ぼしの魔女は、ただの恋する少女だった。
滅ぼしの魔女は、人の幸せを望む少女だった。
悪じゃない、正義の少女だった。
呪いなんて、かかるべきではない少女だった。
今はもう、罪を償って、彼岸で静かに暮らしているのだろうか。それは、誰にも分からない。
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〜3年後〜
「A!」
懐かしい声で呼ばれる。それにとても安心してしまって、その声が、やっぱり好きだなぁ、なんて思ったりして。
「テツ先輩、皆さん、お久しぶりです!」
ブルークリスタル魔法騎士学校を卒業して、今日はあの時のAクラスの人と会う日だ。
「んー……やっぱ、皆変わんないね」
及川先輩がしみじみと言うから、少し笑ってしまう。でも、それには同感だ。
「でも、皆、魔法騎士ですよ。少しは強くなったんでしょうね」
「そうだなー。久々にやるか?」
「嫌です」
そんな会話をして、街を歩く。そういえば、前もこんな風に話しながら、街を歩いたな、なんて考えながら、空を見た。
今は夕方で綺麗な夕焼けが見えた。オレンジに染まった空と、薄く染まった雲。
「何見てんの?」
「テツ先輩。いえ、ただ、空が綺麗だなぁって」
「そか。……ほんとだ」
あぁ、平和だなぁ、って。こんな時がずっと続けばいいのにって。
そう、願うんだ。
それはきっと、誰もが願う事だから。きっと、叶えばいいなって、ずっと願っている。
そう思えるようになった理由になる人に出会えたのは、あの魔法の学び舎に行ったから。
だから、言わせてください。
「テツ先輩」
「ん?」
「ありがとうございます」
「何が?」
「いえ。秘密です」
笑顔でそう言って、いつかその本当の意味が伝えられるまで、待っててください。
これは、恋と魔法が交差した、そんな物語。
*end*
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作者名:凛花 | 作成日時:2017年1月9日 16時