??章〜破滅の音〜 ページ14
破滅の音が聞こえる。
希望と絶望と、欲望が混ざりあった世界の破滅の音が。それは、酷く滑稽な物語だ。
人は世界が滅びると知った時、どんな顔をするのだろう。どんな行動を起こすのだろう。酷く慌てふためいて、きっと何も出来ずに、ただ息を引き取っていく。
『ねえ、貴方はどう思う?』
その問いかけが、暗い空間でやけに響いた。目の前の、問いかけをした少女とよく顔の似た少女は、ゆっくりとこちらを振り返って、
『さあ。でも、きっと貴方が言った通りでしょ』
その2人の赤い、紅い、緋い目は、暗い空間で不気味に光っている。
ふと、先程問いかけをした方の少女がはぁ、と息を吐いた。すると、真っ暗だった空間が明るくなる。2人の少女は向かい合って、その間には2本の角を生やした少女が眠っていた。鬼なのか悪魔なのかははっきりとしないが、その少女もまた、2人の少女と顔がよく似ている。
『あはは、こんなに似てる顔があると気持ち悪いね』
問いかけられた方の少女はそう言って、少し笑う。
『んーでもまあ、世界には似てる人が3人いるって言うから』
『"生きている人"は1人だけどね。おまけに1人は人じゃないし』
それに2人の少女が笑う。真ん中の少女は、まだ眠っている。2人はまるで存在を忘れたかのように、そちらに目を向けない。
この2人が世界を滅ぼすなんて、誰が想像するのだろう。
2人の名前は、蒼海Aと、夕闇燈だ。
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作者名:凛花 | 作成日時:2017年1月9日 16時