第8章〜守護者の真実〜 ページ1
「A。お前は、守護者やこの世界が滅びる前の世界についてどれ位知ってる?」
テツ先輩が聞く。
今いる場所は、ブルークリスタルにある美味しいと有名なカフェ。そのテラス席に私、テツ先輩、菅原先輩、日向くんで座っている。
「滅亡前の世界についてはよく知りません。多分そこだけ呪いがかかっていて見えないので。守護者についてはだいたいは分かります」
そう言って、説明を始める。
「守護者というのは本来痣の進行を止めるためのものです。光、闇、無属性の場合その痣の進行が早いため守護者が必ず付与されています。
なぜその3属性の痣の進行が早いのかと言うと、世界が滅びる前に開発されていた魔導士達は光、闇、無属性しかいなかったんですよ。
だから、それ以外の属性の人は魔力に耐性のある状態で生まれてきた。しかし光、闇、無属性の人は崩壊前に開発された魔導士の遺伝子を受け継いでいる。だから守護者がいなくてはならないんです」
これが、守護者の真実です。そう言って私は口を閉じた。
守護者とは名ばかりだ。前世から受け継ぐ呪いのようなものなのに。
それに縋った人間はただの愚か者だ。
「なんだよ、それ!!だって、守護者は魔導士を守ってくれる存在だって、守って戦ってくれる存在だって…………」
日向くんが声を荒らげて叫ぶ。魔法が好きで、魔法騎士に憧れを抱いていて、それなのに真実の箱の蓋を開けたらこれだ。
全部全部、人間の醜い欲望が生み出した産物で、全然綺麗なものなんかじゃなくて。
そういえば、日向くんはあの時保健室にいなかったな、なんて今更思う。
夢を壊したようで、罪悪感が募った。
「っあ、……ごめ」
「謝んなくていいと思うよ」
謝ろうとして、遮られる。
「え」
菅原先輩はいつもの笑顔じゃなくて、真剣な顔をしていた。
「Aは真実を話してくれた。それが辛いものだとしても、受け入れるのは当然の事だ。魔法騎士になりたいんならね。ほら、日向もそんな顔やめろ〜」
菅原先輩は、そう言い終わると優しく笑ってお礼を言った。
「いえ。あの、ありがとうございます、菅原先輩」
「よし、じゃあ俺の聞きたい事は終わったし、どっか行くか?」
テツ先輩が言った。日向くんは少し顔を明るくして、はい、と言う。
「Aも行くだろ?」
テツ先輩は私の顔を見てそう聞く。
「……はい」
笑って、私はそう言った。
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作者名:凛花 | 作成日時:2017年1月9日 16時