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『それじゃあ、サヨナラ』

そう言って踵を返す。

つもりだったのに。腕を若利から掴まれていた。文句の一つでも言われるのか。はたまた、女を撒いたお礼でも言われるのか。見当もつかない。

そんなことを考えていた私に突きつけられたのは、

「瀬見は来ないぞ」

『は?』

「聞こえなかったのか?」

『え、瀬見体調でも崩した?大丈夫なの?』

「いや、瀬見は健康体だ。元々瀬見が来る予定はなかった」

ますますわからない。

「瀬見に俺が頼んだ。Aに合わせて欲しいと」

瀬見が悪いわけじゃないんだけど、瀬見と連絡先を交換したことを心底後悔したし、天童と同じ会社になってしまったことも少し後悔した。

「すまなかった」

『いやいや、若利が謝ること何もないじゃん。本当にどうしたの』

「あの時追いかけるべきだった。それ以前に、もっと言葉にしておくべきだった」

『…それは卒業式のことで間違い無いよね?』

「ああ。Aのあの台詞が本心でないことを俺が一番知っていた。なのに自信がなかった」

なにそれ、私の迫真の演技無駄だったってこと?もう笑うしかないじゃん。

『自信って何の?』

「俺は春高で負けた。次は絶対に負けないと思ったし、俺は二度も同じ過ちはしない」

少しでもミスがあったら何度も繰り返し練習を重ねてきたのは知ってたよ。

「俺は確信していた。バレーで生きていくと。バレーで頂上まで登り詰めると。だが、あの日、Aのことを幸せにできる自信がなかった。


Aにいつも寄り添ってやれるやつとこれから先出会うだろう。Aは優しい。

だから俺と付き合っていたら、俺がいくらバレーに費やして、Aとの時間がなくなっても乗り換えるなんてしない。

恋人としての幸せをお前にあげられないと思った」

『そんなことないよ。私は若利に漬け込んで付き合ってもらっただけだし、幸せにする義務も何も要らないの。

だから若利がバレーに集中できる相手と幸せになればいいと思う』

「まずそこからだ。俺の所為だ。まず、俺は好きでもないやつと付き合う時間があればバレーをした。送る時間があればバレーをした。

俺はあの時、Aのことを好きだった。だから幸せにしたいと思っていた」

それを聞いただけで、私は報われた気がした。高校生の自分が。

あの時間は決して無駄じゃなかったんだよって、自分に言ってあげたい。

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設定タグ:ハイキュー , HQ , 短編集   
作品ジャンル:恋愛
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...syokatsu...(プロフ) - のりまきさん» そう言って頂けると嬉しいです!ありがとうございます!! (2020年5月25日 15時) (レス) id: b4154610b3 (このIDを非表示/違反報告)
のりまき - 初めまして!白布くん読ませて頂きました。とんでもなくキュンキュンしました作者さん天才です!!!これからも応援しています! (2020年5月25日 2時) (レス) id: a2e04f6f11 (このIDを非表示/違反報告)
...syokatsu...(プロフ) - 美穂さん» そう言って頂けると嬉しいです。これからもっと上手く書けるように精進していきます!本当に今回はありがとうございました(^-^) (2020年5月1日 22時) (レス) id: b4154610b3 (このIDを非表示/違反報告)
美穂 - 大地さんの見ました。キュンキュンしました!ありがとうございます! (2020年5月1日 20時) (レス) id: f7b3d5ed55 (このIDを非表示/違反報告)
美穂 - ...syokatsu...さん» ありがとうございます! (2020年4月30日 15時) (レス) id: f7b3d5ed55 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:...syokatsu... | 作成日時:2020年3月5日 13時

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