▼ ページ25
結局瀬見と交換した連絡先。
連絡が来たのはご飯に行った日に一度だけ。無事帰れたかってことと、若利のこと本当に好きだったってこと信じていいのかってことだった。
私は信じるも信じないも瀬見に任せるよ、とだけ返信した。
それから連絡は取っていない。そして私は無事、京都の一般企業に就職して今ではただの会社員だ。
それなりに合コンに行かされることもあったし、出会いもあった。けれど、誰も好きになれなくて、若利に似てるところを探しては、やっぱり違うだなんて。
高校から前進できてないのは私だけだった。
そして入社して二年目の夏。久しぶりに瀬見から連絡が来た。
瀬見久しぶり。天童からお前が京都で就職したって聞いた。19時に会社前で待ってる。就職祝いのディナーな!
そう、想定外なことで、会社の同期に天童がいた。相変わらず何考えてるのかさっぱりわからないやつ。
けど仕事はできるし、挨拶くらいはする。時折品定めするかのような視線は感じるけど、それはもう仕方ないことだと思ってスルーしている。
瀬見と連絡取ってたんだなー、まぁ男バレは仲良いから今も交流あるのかもな。っていうか私の話題出たんだな。それが一番の驚き。
A了解。
と送信。
『お先に失礼します』
近くの先輩に挨拶して仕事を終える。ディナーって言うからには最低限のマナーとしてメイク直しをする。
色のあるリップなんて久しぶりだ。なんだか気分も上がる。
身嗜みを整えて会社を出ると珍しく騒がしかった。
しかも女子がここぞとばかりに詰め寄っている。瀬見か。確かに私服じゃなければカッコいいし囲まれても当然だろう。早く回収しなきゃな。
そしてそのざわめきに近づいた時、やっと気づいた。
瀬見じゃない。若利じゃないか…！！
私は今までのことなんて全部頭から消え去っていた。
女どもをかき分けて若利の腕を掴み走り出した。人気のない路地裏へと走る。
３分ほどグネグネと走って息が乱れて立ち止まった。若利は息一つ乱さない。それもそうか、プロだもんな。
『少しは自覚を持ちなよ！！
全日本でテレビにも引っ張りだこなんだよ？！女子からの支持も集めてるんだから、あんな変装もせず堂々と道端にいたらカモだよ！
取り敢えず撒いたからここからは気をつけて帰って下さい』
そこまで言ってハッとした。なんて口きいちゃったんだ私…！まぁいい、高校であんなこと言ったし今更だ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 51人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
...syokatsu...(プロフ) - のりまきさん» そう言って頂けると嬉しいです！ありがとうございます！！ (2020年5月25日 15時) (
レス) id: b4154610b3 (このIDを非表示/違反報告)
のりまき - 初めまして！白布くん読ませて頂きました。とんでもなくキュンキュンしました作者さん天才です！！！これからも応援しています！ (2020年5月25日 2時) (レス) id: a2e04f6f11 (このIDを非表示/違反報告)
...syokatsu...(プロフ) - 美穂さん» そう言って頂けると嬉しいです。これからもっと上手く書けるように精進していきます！本当に今回はありがとうございました(^-^) (2020年5月1日 22時) (レス) id: b4154610b3 (このIDを非表示/違反報告)
美穂 - 大地さんの見ました。キュンキュンしました！ありがとうございます！ (2020年5月1日 20時) (レス) id: f7b3d5ed55 (このIDを非表示/違反報告)
美穂 - ...syokatsu...さん» ありがとうございます！ (2020年4月30日 15時) (レス) id: f7b3d5ed55 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：...syokatsu... | 作成日時：2020年3月5日 13時
