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同級生の活躍も素直に喜べなくて。チームは勝っても気分は晴れない。悔しくて悔しくて涙が地面に落ちた。けど太陽の当たるそこは、すぐに乾いていく。
まるで私の涙は、後悔は、悔いは。無意味だと言うように。
その時だった。
「お前、こんなところに座っていたら熱中症になるぞ。」
ウシワカが偶々通った時に声をかけてくれて。先程買ったというスポーツドリンクをくれたのだ。
『え!いいんですか?ありがとうございます』
「ああ、構わない。それで、どうして泣いてたんだ?」
『いや、その…。私練習試合でここに来たんですが、情けないプレーしか出来なくて、反省中でして。』
「そうか。泣くほど悔しいって思えるのはお前が頑張ってきた証拠だな。」
ウシワカほど頑張ってないよ。そう思うけど自己嫌悪中の自分には憧れの人から頑張りを認められてる気がして、胸に染みた。
「練習試合は成長のためにある。目的は勝利ではない。だからお前も今回の反省は二度としなければいいだけだ。次は幾分か成長してこの体育館に来い。」
見上げたウシワカは私をずっと見ていたようで。強くなることを信じてやまない、その力強い瞳に私は魅了されるしかなかった。
『頑張ります。ありがとうございました、ウシワカさん。』
「ん?何で俺の名前知ってるんだ?」
『あ、いや、その、有名なので!!バレー界で!』
「そうか。俺は歩みを止めない。だからお前は迷ったら俺を追いかけとけ。」
そう言ってウシワカは踵を返して体育館へ戻っていった。
__あの日からウシワカは、私の憧れの人ではない、好きな人になったんだ。
「あ、次の試合始まったわ。多分そろそろ友達が来るからそれまで付き合ってね。」
『へー、友達ね、私帰ったほうが良くない?』
「いや、アンタに紹介したくてね。あ、来た!覚ー!!こっちこっち!」
ん?覚?さとる、さと、る?
え!天童さん!?
「覚、お疲れ様、ナイスドシャット」
「しずちゃんも応援ありがとう〜!ちょー嬉しかったヨ!!」
「あ、これ、天童覚、私の彼氏、ね」
しずちゃんが顔を赤く染めて紹介する。彼氏と。かれし、かれし?!
「君、Aさんだよネ!しずちゃんからよく話は聞いてるヨ!よろしくネ〜!」
『はぁ、よろしくお願いします』
なんかもう驚くことが重なって頭が追い付かないよ。
付き合ってる素振りなんて一度も見たことなかったし!でも取り敢えず
『しずちゃん、おめでとう』
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...syokatsu...(プロフ) - のりまきさん» そう言って頂けると嬉しいです!ありがとうございます!! (2020年5月25日 15時) (レス) id: b4154610b3 (このIDを非表示/違反報告)
のりまき - 初めまして!白布くん読ませて頂きました。とんでもなくキュンキュンしました作者さん天才です!!!これからも応援しています! (2020年5月25日 2時) (レス) id: a2e04f6f11 (このIDを非表示/違反報告)
...syokatsu...(プロフ) - 美穂さん» そう言って頂けると嬉しいです。これからもっと上手く書けるように精進していきます!本当に今回はありがとうございました(^-^) (2020年5月1日 22時) (レス) id: b4154610b3 (このIDを非表示/違反報告)
美穂 - 大地さんの見ました。キュンキュンしました!ありがとうございます! (2020年5月1日 20時) (レス) id: f7b3d5ed55 (このIDを非表示/違反報告)
美穂 - ...syokatsu...さん» ありがとうございます! (2020年4月30日 15時) (レス) id: f7b3d5ed55 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:...syokatsu... | 作成日時:2020年3月5日 13時