知ってる。 ▼天月▼ ページ1
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ずずっ。
鼻をすすって、涙を拭う。
ぎゅうっと締まる胸を抑えて息を吐き出す。
爽やかな風に拾われていったそれが君に届けばいいのに、なんて。
⋮
「Aのおかげだよぉ···、ありがとう」
瞳に透明な液体を浮かべ、私にはにかんだ彼の姿が脳裏に焼き付いて離れない。
やめて、そんな目を私に向けないで。
私は、それを祝福出来る程優しくない。
お祝いの言葉を述べて、下手くそな笑顔を作る。
ダメだ、こんなんじゃ。
彼に気づかれないように必死に口角を上げる反面、気付いて欲しいなぁという我儘な気持ち。
良かったね、なんて全く思ってないじゃん。嘘つき。
空き教室から覗くのは幸せそうな笑顔の真冬と可愛らしい小柄な彼女。
開いた窓から吹き込む、暖かな風は冷たい私の心と真逆だった。
いっそ風が溶かしてくてたらいいのに。
バカな願いだ。
叶わないとは分かっていても、忘れられないし、何よりそんな軽い恋心を彼に抱いていた訳ではない。長年、思った結果がこれなんて。
あぁ、惨めだ。ほんと惨め。
カップルの覗きなんて。
自分をより一層悲惨にするだけなのに。
「覗きなんて趣味わる〜い」
ガタッと物音がして振り替えると、ニッコニコ笑う男子生徒。
上履きとネクタイの色からして、1年...。
だぼっとしたセーターを着て半分隠れた手を口元へ、運びクスクス笑う。
「好きなんですかぁー?あ、の、センパイ」
「関係ある?そもそもお前誰?」
「え〜、その顔で言います?」
指差された私の顔は涙が頬を伝っていた。
爛々と輝く大きい瞳に見透かされてるような気がして目を反らした。
「先輩、美人なんですから。勿体ないですよ」
端正な顔立ちに所々跳ねるふわふわした茶髪。
なんなのこいつ。まじで何。
意味が分からない。
「関係ない」
「先輩、失恋中なら喜んで慰めてあげますよ?僕が」
「...は??」
先輩美人ですしー、というこいつは今、何と言った?
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や(プロフ) - 天月さんの考えとる事が分からない感じがすごく気になります〜更新頑張ってください! (2018年7月24日 15時) (レス) id: 8d18ba62e8 (このIDを非表示/違反報告)
りょう(プロフ) - ろと@Souなーさん» あ、天月さんでも全然いけるんですね、あ、安心(チキン野郎)更新頑張ります!! (2018年7月12日 21時) (レス) id: aff682af9d (このIDを非表示/違反報告)
りょう(プロフ) - ろと@Souなーさん» すみません、まじ大天使様の爽快野郎Souくんじゃないでs((いや、でも天月さんが終わったらきっと書きます、きっと!!コメントありがとうございます! (2018年7月12日 21時) (レス) id: aff682af9d (このIDを非表示/違反報告)
ろと@Souなー - あ、まつきくんか、、いや全然いける、、( ー`дー´)キリッ 更新頑張れ〜 (2018年7月9日 0時) (レス) id: 6bd8d0a98c (このIDを非表示/違反報告)
ろと@Souなー - ん?ン?ン?n?Souちゃんなの?Souちゃんだったらいいな、>_(:3 」∠)_ (2018年7月9日 0時) (レス) id: 6bd8d0a98c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りょう | 作成日時:2018年7月2日 18時