22 兄弟 ページ24
(いろいろヒドイ)
「夕飯何が良いと思う?」
Aのために買い出しに来た夕方のスーパーで、値引きされた肉を見ながら一松に問いかける。
ペットフードの棚に張り付いていた一松はちらりと俺を見て、「レバー一択だろ」と棚に視線を戻した。
「そうだな。風邪の時に食べるといいって聞くし」
「……は?」
ナイスアイデアに頷きながらレバーを手に取れば、なぜか面食らったような表情で俺を見てきた。
怪訝そうに眉を寄せる弟に、俺もきょとんと首を傾げる。
「ちょっと待って。お前、アイツが辛そうな理由風邪だけだと思ってんの?」
「え?他にもあるのか?」
「マジかよ…」
信じられないと言った様子の弟にそう言うと、一松は軽蔑のまなざしで床にぺっと唾を吐いた。
ここ一応店内だぜブラザー。
「お前はほんっとにバカだな…女が腹押さえて辛そうにしてたらアレしかねえだろ。まさかそんな知識もないの?」
「アレってなんだ?腹でも下したのか」
ますます首を傾げる俺にケッと悪態を吐くと、一松は猫缶をカゴに投げ入れた。
「セーリだよ、セーリ。保健体育で習ったろうが」
「せ、セーリ…?……生理!?」
苛ついた様子の一松に怯えつつも、親しみのないその言葉に一瞬で顔が熱くなる。
「だ、だが!Aの顔赤かったし、体だって熱かった!」
「女は辛いときに優しくされるとドキッとすんだって。トッティのバイブルに書いてた」
「……ど、ドキッと……」
頭を撫でると頬を火照らせ、潤んだ瞳で見つめてきたAがぼんやりと頭に浮かんで、かあっと顔に熱が集まる。
(そ、そうだったのか……!)
顔の熱がそのまま下半身にまで移らないように、慌ててレバーを山盛りカゴに投げ入れる俺。
ああ、待ってろマイスイート!
俺が美味い飯を作って、今すぐお前を元気にさせてやる!
きゅんきゅんと締め付けられる心臓を押さえつつレバーを投入していると、一松がカゴに何かを入れて来た。
「ん?何だこれ」
「生理用品」
「ハッ!?」
冷めた表情で話す一松に素っ頓狂な声をあげる。
「これプレゼントしてやったら喜ぶんじゃない?知らんけど。そしたら俺たちの好感度もウナギ登りで、やりたいプレイも受けてくれるかも。ヒヒッ」
「……一松、お前…」
マスクを下げて笑う弟に、深くため息を吐いて頭を抱える。
パッと顔をあげると、俺は一松の手をがっしり握った。
「天才か、マイブラザー!」
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スカイ(プロフ) - 本当に好き....!!!めちゃめちゃ面白いです!作者様がまた書きたいと思いましたら、更新して頂けるととても嬉しいです!待っています! (2020年6月2日 18時) (レス) id: a0f03080e5 (このIDを非表示/違反報告)
おもちもちもちもんだみん(プロフ) - おもしろい〜! (2019年2月14日 14時) (レス) id: bcc917b3e1 (このIDを非表示/違反報告)
ヨモ(プロフ) - ナバポさん» コメント有難うございます!こじらせクズがとても好きなんです〜!楽しんでもらえてとても嬉しいです! (2017年12月23日 12時) (レス) id: 63c1855969 (このIDを非表示/違反報告)
ヨモ(プロフ) - 俺の嫁は二次元(キリッさん» コメント有難う御座います^^年に二度ほどしかない更新ですが楽しんでもらえたら嬉しいです! (2017年12月23日 12時) (レス) id: 63c1855969 (このIDを非表示/違反報告)
ナバポ(プロフ) - 二人がクズをこじらせている笑面白かったです! (2017年6月14日 20時) (レス) id: 03f7a55e36 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヨモ | 作成日時:2015年12月15日 21時