31 どうぞお好きなコースを ページ33
「おいおいおい何だこのシケた店は?唐揚げ一皿300円?ふざけてんじゃないか?なあ一松」
「いえあの、ウチは出来るだけ安価な価格でご提供しておりますので…」
テーブル席で偉そうにふんぞり返って難癖を付ける二人に、店長はペコペコ頭を下げて謝っている。
そんな様子をこっそり影から見詰めつつ、店長頑張って!あわよくば追い返してください!と小さくガッツポーズする私。
「しらばっくれるんじゃない!どう見ても高過ぎるだろぼったくりかココは!それとも何だ?オマケでもつくのか?例えばそこの女性店員とムニャムニャできるとか!」
びしっと私を指差してくるカラ松さんに、ゲっと顔が引き攣る。
知り合いなの?みたいな目でジットリ私を見詰める店長に、私は慌ててぶんぶんと首を横に振った。
こんなことでクビになってたまるか!
二人をどうやって追い出そうか思考を巡らせていると、黙っていた一松さんがコップを傾けて店長を見上げる。
「つーか、アンタだれ?俺、アンタと無駄話するためにこの店来たんじゃないんだけど。そこに突っ立ってる店員呼んでよ」
「いや、だから当店はそういう店では……ってああ!お客様!お尻を!お尻をしまってください!」
「一松が出せって言ってるだろ!早くそいつに注文を取らせろ!取り返しのつかないことになるぞ!」
テーブルの上にヤンキー座りして店長を睨み付ける一松さんに、もうこれは駄目だなと諦めて、大惨事になる前にテーブルへと駆け寄る。
「ご、ご注文取りに来ました……」
「ここ座って」
「いや、あの、ご注文……」
問答無用で腕を引かれ、ぽすんと一松さんの隣に座らされる。
テーブルの下でさわさわと太ももを這うその手を払い除けて、再度「ご注文は!」と問いかけた。
「あー、注文な…じゃあ俺は、お仕置き放課後教室♡イタズラなあの子に愛のムチ♡コースで」
「お仕置き受けるべきなのはカラ松さんなんじゃないですか?」
「俺は×××で地獄の◯◯◯◯、女王様を添えてコースがいい」
「そんなキャビアを添えてみたいな感じで言われましても!」
ちゃんとメニュー見てください!
やらしい目つきで私を眺める二人に雷を落とし、バンっと机にメニュー表を叩きつける。
一松さんはしぶしぶそれに目を通し、モノ欲しそうな瞳でチラッと私を見上げた。
「……女王様を添えて」
「だからそんなコースはないっつの!!」
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スカイ(プロフ) - 本当に好き....!!!めちゃめちゃ面白いです!作者様がまた書きたいと思いましたら、更新して頂けるととても嬉しいです!待っています! (2020年6月2日 18時) (レス) id: a0f03080e5 (このIDを非表示/違反報告)
おもちもちもちもんだみん(プロフ) - おもしろい〜! (2019年2月14日 14時) (レス) id: bcc917b3e1 (このIDを非表示/違反報告)
ヨモ(プロフ) - ナバポさん» コメント有難うございます!こじらせクズがとても好きなんです〜!楽しんでもらえてとても嬉しいです! (2017年12月23日 12時) (レス) id: 63c1855969 (このIDを非表示/違反報告)
ヨモ(プロフ) - 俺の嫁は二次元(キリッさん» コメント有難う御座います^^年に二度ほどしかない更新ですが楽しんでもらえたら嬉しいです! (2017年12月23日 12時) (レス) id: 63c1855969 (このIDを非表示/違反報告)
ナバポ(プロフ) - 二人がクズをこじらせている笑面白かったです! (2017年6月14日 20時) (レス) id: 03f7a55e36 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヨモ | 作成日時:2015年12月15日 21時