15 血みどろパーティー ページ17
ちょっとチョロ過ぎるぞ、私。
最初はクリスマスパーティーなんて聞いて断っていたはずなのに、一松さんの「シャンパンあるよ」の一言で、なぜか私は松野家の前に立っていた。
「なにボーッとしてんの?上がれば?」
「……お邪魔します」
シャンパン一本で釣られるなんて、我ながらバカだなあなんて考えつつ、手招きされるまま玄関をくぐる。
廊下をきしませながら歩いていると、襖の奥から何人かの話し声が聞こえてきた。
「ここだ」
カラ松さんが私を振り返って、部屋の襖をがらりと開ける。
「お、お邪魔してます。高橋って言いま…」
家から持ってきた菓子折りを差し出しながら、挨拶をしようと顔を覗かせて、
そして、絶句した。
飛び込んできたのは、薄暗い部屋の中でサンタの格好をしたゾンビが何人も部屋を徘徊している光景と、かすかな血生臭さ。
あれ?ココお化け屋敷か何か?部屋間違えた?
目を何度か瞬かせて、袖でごしごしと擦る。
しかしながら、狂った部屋にはクリスマらしさの欠片も見出せない。
たらりと背中に冷や汗が伝った。
「……ちょっと私おトイレ……ぎゃ!」
咄嗟の判断でくるりと体を反転させて足を踏み出せば、がしりと両足首をつかまれる。
ビターン!とギャグ漫画よろしく地面に倒れる私。
振り返ると、変態二人が片方ずつ足首を掴んでいた。
「に、逃がさないぞ!今年は女っ気の無いクリスマスなんてイヤなんだ!俺と聖なる日を過ごしてくれ!」
「知らないですよ!こんなホラー展開聞いてません!離せ、離せえぇ!!」
「そうそう落ち着いて。俺と性なる日を過ごそうよ」
一松さんが妙に一文字を強調したところで、冗談じゃない!と必死に身をよじる。
すると、「あ」と何かに気付いたように声を上げるカラ松さん。
「あ、あ……あの、A……」
「パンツ見えてるよA」
「一松!お前レディに向かって何てことを……!」
慌てふためくカラ松さんが、足首を掴む力を少し緩めた。
「、っええい!」
パンツなんか知ったことか!
私は片足をばたばた動かして脱出を試みる。
……あろうことか、勢いをつけて蹴り出した足は、ガツンと一松さんの顔にぶち当たった。
背後でクヒッと笑う音がして、足首を掴む手にぐっと力が込められる。
「………今夜は最高ォ……」
あ、コレ詰んだ。
恐怖で固まる私の体は、そのままズルズルとクリスマスパーティー()の開催部屋へ引きずり込まれるのだった。
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スカイ(プロフ) - 本当に好き....!!!めちゃめちゃ面白いです!作者様がまた書きたいと思いましたら、更新して頂けるととても嬉しいです!待っています! (2020年6月2日 18時) (レス) id: a0f03080e5 (このIDを非表示/違反報告)
おもちもちもちもんだみん(プロフ) - おもしろい〜! (2019年2月14日 14時) (レス) id: bcc917b3e1 (このIDを非表示/違反報告)
ヨモ(プロフ) - ナバポさん» コメント有難うございます!こじらせクズがとても好きなんです〜!楽しんでもらえてとても嬉しいです! (2017年12月23日 12時) (レス) id: 63c1855969 (このIDを非表示/違反報告)
ヨモ(プロフ) - 俺の嫁は二次元(キリッさん» コメント有難う御座います^^年に二度ほどしかない更新ですが楽しんでもらえたら嬉しいです! (2017年12月23日 12時) (レス) id: 63c1855969 (このIDを非表示/違反報告)
ナバポ(プロフ) - 二人がクズをこじらせている笑面白かったです! (2017年6月14日 20時) (レス) id: 03f7a55e36 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヨモ | 作成日時:2015年12月15日 21時