四半純血のプリンス (ページ27)

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「離してください！」

「ミネルバから何を受け取った？」

「こんな担がれてたら確認もできませんよ！１回降ろして！」

この人にしては珍しく、小脇に抱えられて運ばれている
しかも、ご丁寧に軽くする魔法や振動を防ぐ魔法をかけられていて身動きが取れない
城内をズンズンと進んでいく彼は誰にも止められない

「ほう…蝙蝠と狼…」

いつの間にか取り上げたのか、マクゴナガル先生から受け取った小包が父の手に渡っていた
キラキラしたラッピングからは、コウモリとオオカミの編みぐるみが顔を覗かせている

「返してください。私が、マクゴナガル先生に貰ったんです」

ギリギリ動いた腕を伸ばして、小包をひったくる
コウモリはセブルス・スネイプ…父を表しているはず。
となると、オオカミは彼のことだろうけど…なんでオオカミ？
荷物同然に運ばれていることも忘れて思案していると、頭上から低い声が響いた

「飛ぶぞ。舌を噛まないように」

理由を問う暇も無く、景色が歪んだ
恐らく姿くらまし。

「急に飛ぶのはやめて…う…気持ち悪い…」

「今日中にここに来るにはこうするしか無いだろう？」

辺りを見渡すと、薄暗く排気の匂いが立ち込めるマグルの街の墓地に立っていることに気が付いた
マグルの掃き溜めと称されるここ、スピナーズ・エンド。
父の故郷であり、私の故郷でもあった。

「私は来なくてよかったのに…」

「お前が来るべきだ。我輩は彼女のことを愛してはいない」

「…だからだよ。母さんが死んでから１回もお墓に来ていないでしょう？」

「我輩はここにいるべきではない」

「私はただ、クリスマスを家族で過ごしたいだけなの。母さんが死んでから…いや、母さんが生きていた頃も家族で過ごす時間はあまり無かったから」

母の名前が彫られた小さな墓石にチョコレートを添える

「…メリー・クリスマス、母さん」