四半純血のプリンス (ページ24)

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陰湿な地下牢の扉をノックする。
聖夜だと言うのにこの辺りは真っ暗で、心なしか気温が低いように感じられる

「スネイプ先生、Aです。調合したい魔法薬があるのでお邪魔してもよろしいでしょうか」

「…入り給え」

ホグワーツ入学から幾度となく通っている教室の香りに目を細める
ハーマイオニーが帰省している今、ここが一番落ち着ける場所かもしれない
…持ち主には歓迎されていないようだけれど。

「何をしに来た？今日は呼んでいないはずだが」

「調合です。クリスマス休暇だからと言って怠けてはいられません」

「見上げた精神ですな。折角の休暇に押しかけて調合とは…親の顔が見てみたいものだ」

「鏡でも見ていればどうです？いつでも見られるでしょう？」

棚から、ドラゴンの髪とワセリンの小瓶を取る。
本当はこんな険悪な会話をしに来たわけでも、こんなものを調合しに来たわけでもない

手際良く調合を進め、釜を煮立たせる炎を見つめる。

「先生ならこれが何かご存知ですよね？」

無言で頷いた彼に、人差し指を立てる

「スリーク・イージーの直毛薬。偉大なるフリーモント・ポッターの発明品です」

『ポッター』を強調して語ると、分かりやすく顔を顰めた

「…そんな物を作ってどうするつもりだ？君には必要無いだろう」

「えぇ、母さんのお陰で」

父とは違い、綺麗なストレートヘアだった母の姿を思い出す
母さんによく似た髪質、顔立ち。
なのに、その色だけはすべて父親に似た。

「……彼女のことは済まなかった」

黒い瞳に一瞬宿った戸惑いの色に口角を上げる

「済まなかったと思うならこれを受け取って。あと、彼から贈られてきたチョコレートも」

決して華やかとは言えないクリスマスカードとチョコレートを押し付けて、出来上がった直毛薬を握る

「父さんはクリスマスに縁が無いから分からないかもしれないけど、これはハーマイオニーへのプレゼントよ…メリークリスマス、父さん」