四半純血のプリンス (ページ12)

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父との密会からしばらくは平和な日々が続いた
しかし、ハロウィーンパーティーが開催される今日、少女は危険にさらされていた

「逃げようハーマイオニー！」

遡ること30分。
赤毛の少年が放った一言で深く傷ついた友人を追って、少女は地下の女子トイレにいた

「元気出してよ、ロンも悪気があったわけじゃ無いと思うよ？」

「いいえ！私みたいなガリ勉は嫌われて当たり前なのよ！」

少女は、父親に似て人付き合いが苦手な方だった
慰め方も分からず、涙を流すハーマイオニーの背中を擦ることしかできなかった矢先、ホグワーツに異変が起きた

「ねぇハーマイオニー、何か変な音しない？…まるで何かが近づいてきてるみたい…」

鉄壁の要塞であるはずのホグワーツに限ってそんなことは起こらない
…はずだった。

「A…あれって…」

少女たちが座り込んでいる女子トイレの入り口に巨大な棍棒を持ったトロールが立っていた
その目は、まっすぐ2人の獲物を捉えている

「っ、逃げようハーマイオニー！」

動けなくなってしまったハーマイオニーの手を掴んで、個室へ駆け込む
次の瞬間、彼女たちの頭スレスレを棍棒が掠めた
古い木の壁はやすやすと破壊され、少女たちは瓦礫に埋もれてしまった
…もう逃げ場は無い。

二度目のトロールの攻撃より早く、少年の声が響いた

「逃げろ！！」

ハリーとロンだ。
彼らがトロールの気を引いている間に、黒髪の少女は友人の手を引いて洗面器の下に潜り込んだ
ハーマイオニーの瞳からは既に涙は消えていた
打って変わって、2人の瞳は恐怖で揺れている
…もはや少女たちの命は、駆けつけた少年たちにかかっていた…